丸い部分をクリック: すべての項目を達成しなければ、フィルムレス病院は完成しません。
Last updated 2007/6/10


 フィルムレス病院とは、胸部のX線撮影やCT,MRIといった医療関係の画像を印刷しないで、モニター(ディスプレー)で観察して判断するシステムを、院内のすべての場所で採用した病院を言います。紹介先の病院との画像データのやりとりも、CDRもしくはネットワークによります。情報を電子データにして、ネットワークで配信する仕組みは、非常に効率的です。手元にカルテやフィルムがある場合は、見るのは確かに簡単でしょう。しかし、フィルムやカルテがどこにいったのか、探し回った経験はないでしょうか。そして、大勢で探し回って、ようやく見つけた経験は病院関係者であれば、誰でも経験しているのではないでしょうか。電子情報にはこういう不便さがありません。人手で搬送するよりはるかに安価です。

 フィルムを使用しなくなることで、保管場所が節約できたり、画像がすぐに利用できる、医療費削減ができるといった利点が生じます。私の所属する病院では、最近、CTは、すべて 3 mm厚を基本にしてしまいました。16スライスのMDCTですので、患者さんの被曝が増えるわけではありません。画像処理で薄くしているのです。肺野などは明らかに見えるものが違います。さらに、これに頭頸部、肺精査、骨軟部の局所の 1 mm厚スライスが加わります。スライス数が1000枚を越えると、ビューワーによってはトラブルを起こすので、なるべくスライス数を抑えるようにしてはいますが、スライス枚数は膨大になりました。これらの大量の画像をシャーカステン(蛍光灯を大量に使ったフィルム表示装置)にかけて見るのは不可能です。

 画像データをCDRに入れれば、患者さんにとっても、紹介医への重くて大きいフィルムを持ち歩かなくて済むという利点が生じます。フィルムは、保存が大変なので、大病院でも10年くらいで廃棄してしまうことが普通ですし、また10年もたつと、色があせてしまい、そもそも取っておいても仕方のないものなのです。デジタルデータにしておけば、患者さんが自分で保存しておいて、必要に応じて再使用することも容易になります。画像の劣化もありません。

 しかし、膨大な設備投資が必要だったり、データが消失しないようにする、データが外に漏れないようにする、高速LANを設置して、高速にデータ転送しなければ実用性がない、などといったところに、十分な配慮の必要があり、完成させるには、かなりの労力を必要とします。私の勤務する病院では、2005年7月にフィルムレスに踏み切りました。順調に動いています。実感としては、”今まで、なんと無駄なことをしていたのだろうか”ということです。数年以内には、どこの病院でも常識になると考えています。今後の最大の課題は、病院間の画像データの交換にあると考えています。

 フィルムレスシステムは、電子カルテと連携させることで、さらに力を発揮します。しかし、連携に関しては、まだまだ使いやすいとは言えないと思っています。私の勤務する病院では、2006年10月に、電子カルテとフィルムレスシステムを連携させました。

  フィルムレスに関連して生じる問題を話し合う、放射線科、医療情報関係者のためのメーリングリストを作りました。実務に携わっている方は是非、ご参加ください。

リンクはOKです。