RSNA (北米放射線学会)に初めて参加される方へ

Sorry, only in Japanese.  最終改訂: 2012/2/12

 

この文書は、発表を認められて、北米放射線学会 (RSNA) に初めて参加される方への助言です。初めて参加する後輩にいろいろ聞かれて、あまり情報がないのに気がつきました。この文書は、初版を 2001 年 12 月の RSNA 直後に作り、改訂を行ってきました。RSNA も改革が行われています。発表の方法は、毎年のように変更があります。この文書をうのみにしないで、きちんと RSNA からの文書を読んでください。

** 発表申し込みのところに詳しく書きましたが、RSNAに限らず、アメリカの学会は、利益相反、倫理違反に関してかなり神経質になっています。
発表申し込みには注意してください。きちんとやらなければ、日本人全体が信頼性を疑われてしまいます。

実際に人間が一定の場所に集まらなくても意見交換ができる時代となりました。カンファレンスも、オンラインで可能な時代になったのだと思います。しかし、学会参加のポイントの一つは、カンファレンスに集中できるかどうかというところにありそうです。自分の病院にいれば、日常業務の現場に呼ばれてしまい、落ち着いて勉強ができません。集中してひとつのことを勉強する時間が必要です。もうひとつの大きなポイントは、最新の診断機器、治療機器に触れることができることです。放射線科の場合、こういった参加型の学会は、そう簡単には、なくならないような気がしています。

ECR マニュアル(ヨーロッパ放射線学会マニュアル) にも、RSNA に関する情報が少しありますので、ごらんください。

私の発表歴ですが、1998 年に 4 次元 CT について共同研究発表しています。2000 年に頭頚部の悪性黒色腫についてポスター発表しました。2001 年には脊索腫について口頭発表しました。2002 年には medical informatics で PDA を使った医療画像データのストリーミング配信システムについて、また講演発表で 4 次元 CT システムについてポスターセッションで、また、SENSE を使ったノイズ軽減のメカニズム解析について共同演者として発表しました。2003 年には、PDA with High-risolution Display and Mobile Wireless File Server System について、共同発表しています。2006 年には、拡散画像を用いた chordoma と chondrosarcoma の鑑別法について電子ポスター発表しました。2006 年には、4 次元 CT 装置を使った呼吸運動解析システム、Web2.0 を使った画像配信システムについて共同研究発表をしています。2007 年には、chordoma の重粒子治療後の MR 画像の変化について、口演発表しています。

シカゴでの生活の注意については、RSNA のベテランの中田典夫先生(慈恵医大放射線科)から教えてもらったことが多いことを付記しておきます。

RSNA で発表された、新しい画像診断装置、道具などについては、 高原太郎先生のページ が早くて、内容も豊富ですので、ごらんください。

以前は、日本人向けに、講演会がいくつか開催されていたのですが、これが特定のユーザーへの利益供与と判断され、問題にされているそうです。日本人だけを対象にした講演会の開催は今後難しくなると思われます。

 

 

** この文書は、iPadの標準ブラウザーである Safari では全体を見ることができません。写真が半分くらい表示されません。たぶん、メモリー容量の制限のためだと思います。iPad, iPhoneで全部見たい方は、Atomic Web Browser というブラウザーでご覧ください。写真を含め、すべて見ることができます。

** 写真は、すべて神立のオリジナルです。著作権があります。リンク・引用は結構ですが、無断コピーはご遠慮ください。

目次

RSNA とは・・・

Radiological Society of North America (RSNA) は、文字通りに訳すと、”北米放射線学会”です。名称から、アメリカのローカルの学会と誤解されるのですが、実態は、世界最大の放射線医学関連の国際学会です。学術集会として、毎年 11 月の末頃から 12 月の初めにかけて 1 週間ほどに渡り、世界の放射線科医・技師の研究発表、学会の主催する教育講演、最先端の放射線診断・治療機器のデモンストレーションなどが講演・発表・展示されます。参加者は例年 6 万人前後です。日本からももちろん、ヨーロッパからも大勢の放射線科医、放射線科の技師が集まります。放射線医学関連の国際学会としては、他に、ヨーロッパ放射線学会 (ECR), アメリカ放射線治療学会 (ASTRO) 、国際核医学会(SNM) 、国際核磁気共鳴医学会(ISMRM: 参加者 5000 人前後。PhD が多い) などがあげられますが、RSNA は、その中でも最大規模を誇ります。

RSNA が作られたのは、1915 年でした。アメリカでは、アメリカ放射線学会(ARRS) が それ以前に作られていたのですが、会合を東海岸ばかりで開催しており、交通網の発達していなかった当時は、アメリカ中西部の放射線科医が参加するのに不便であることから、新たに結成されたのです。アメリカの交通機関は、1852 年にニューヨークとシカゴを結ぶ鉄道イリノイ・セントラル鉄道が敷設され、1869 年には、西海岸と中西部を結ぶ大陸横断鉄道が完成しており、交通手段がなかったわけではありませんが、広い国を移動するには時間が相当かかりました。また、シカゴとロスアンジェルスを結ぶ最初の横断道路である国道 66 号線(総延長 4000 Km) ができるのは、学会結成の 10 年も後の 1926 年 であり、当時は、全国の放射線科医が集まるのは相当大変であったろうと想像されます。

ARRS が学会の会員でないと発表できないのと違って、RSNA は資格なく参加できるオープンな運営でした。第 1 回の会合がシカゴのダウンタウンの Sherman ホテルで 1915 年 12 月 15 日〜 16 日に開かれ、他の都市で開催されたことも一時的にありましたが、1985 年以来、シカゴで開催されています。会場が他へ移るという話はよくでますが、作られた経緯や、環境から、そう簡単には他へ移ることはなさそうです。

RSNA は、最初は、アメリカ西部放射線学会 Western Roentogen Society という名称でした。1919 年に名称を RSNA に変更しています。RSNA の実態が国際放射線学会なのに、なぜいつまでも北米放射線学会なのかについてはいろんな意見があります。国際学会の多くが、”国際”であるために、各国持ち回りで開催されています。それを防ぐためではないかと思います。観光旅行ではないので、同じ場所で開催されるのは悪くありません。同じ場所で開催されていれば、どこに行けば用事が済むのか、どこへ行けば楽しめるか簡単にわかります。シカゴは、そう簡単に飽きてしまうような街ではありません。参加するほうにとってだけではなく、準備だって楽でしょう。ECR( ヨーロッパ放射線学会総会)は、オーストリアのウイーンで開催することで固定されていますが、ECR 学会事務局は、”開催場所を固定したほうが準備が楽だから”と、明瞭に宣言しています。RSNA の場合には、それだけでなく、放射線医療機器開発のイニシアティブはアメリカが取っていくのだという決意があるのだろうと考えています。放射線医療機器は、デジタルデータとして結果を得る装置が大部分となりました。放射線治療計画も、コンピュータで計算して照射範囲を決定するようになってきています。放射線医療に関係する装置の開発は国の電子技術の総合力を問われる分野です。デジタル医療画像データの配信システムや、解析システムの開発も重要な分野です。現代の放射線医療は、国家の威信をかけた、最先端の電子技術の塊なのです。

RSNA は、民主的な運営をしているとされ、その結果、国際的な学会として成長したと言えるでしょう。普段から、活発な活動をしています。年に一度のシカゴでの学術集会以外にも、各種の学術集会や教育講演がが行われています。特に放射線医学教育には大変力を入れています。ARRS (アメリカ放射線学会)のオンライン教育システムもなかなかですが、RSNA の教育システムも素晴らしいです。これらの教育を受けると点数がもらえ(日本の放射線科専門医には関係がない。)きちんと勉強していることの証拠となっています。アメリカの学会会員は、一定の期間に所定の点数を受けることが義務づけられています。日常の放射線医療業務の質をあげることに学会の存在意義を求めており、プラグマティズムが徹底しているアメリカの世界を感じます。年に一度の RSNA 学術集会で発表するのは、アメリカの放射線科医にとって名誉なこととされていますが、発表しなくても、世界の最先端がどうなっているのか、あるいは標準的な放射線医療がどうなっているのか学ぶ場でもあります。

放射線医学を発展させてきたのは新しい装置の発明です。CT (日本では、1975 年頃), Helical CT (1990 年頃)、MDCT (2000 年頃),、MRI ( 1983 年頃)、PET (1980 年頃、ただし研究用),、IMRT(サイバーナイフなど、2000 年頃), 粒子線治療装置(歴史は意外に古い)などがその主たるものです。こうして並べてみると、1980 年以降に放射線医学、特に画像診断学が非常に発達したのがわかります。私が大学を卒業した頃です。放射線治療医学も、IMRTや粒子線治療など、近年めざましい発展をとげています。放射線医学(画像診断学、放射線治療学)は、臨床医学の中では、非常に若い分野です。私が大学を卒業する直前に、日本で数台目の CT 検査装置が大学に納入されました。30 分ほどかけても頭しか撮影できず、それも 1つの画素が 1 cm X 1 cm X 1 cm のサイコロ状の絵でした。2010 年 11 月時点で、最先端の市販の CT 装置の解像度は、0.4 mm X 0.4 mm X 0.4 mm ほどに向上しました。体積比なら 1 万 5 千倍の解像度の向上が得られる時代となりました。コントラストも向上しています。撮影時間も大幅に短縮しています。頭だけなら撮影時間は 5 秒ほど。時間解像度の向上は、360 倍です。その当時、放射線科の教授が ” CT 検査では、頭は動かないので撮影できるが、胸とか腹は呼吸で動いてしまうから、将来も検査できない可能性が高い。”と講義されていたのをなつかしく思い出します。現在のような高精度の画像が、短時間に得られるようになることは当時予想もできませんでした。私は古い時代の RSNA を知りません。しかし、おそらくは、各種画像診断装置が急速に発達した 1980 年以降に、学会も急速に活発になったのであろうと思います。

放射線科医に求められているものは、研究発表や学会参加ではなく、日常の診療を精度高く行うことだと考えています。毎日の努力の積み重ねは重要だとは思いますが、毎日、画像を見ているだけでは、質を格段に向上させることは難しいです。また、日常診療に忙しい中で、まとめて勉強する時間を取ることは難しいです。1 年に一度、国際レベルで頭を refresh し、新しい知見を吸収することは重要だと考えています。新しい放射線医療の構築に日本が貢献していることのアピールだって必要でしょう。世界には、こんなことを研究している人がいるんだ、と驚嘆することは、非常に頭を refresh させてくれます。美しい展示・発表を見る、各種の教育コースを聞くことは勉強になるのはもちろんですが、何よりも勉強になるのは、自分の発表にあたって集中して勉強をすることです。発表を認められた場合、準備にかける労力と緊張感は、たいていの人がすさまじいものがあると思います。どこの国の誰からどんな質問が来るかわかりません。発表するからには、陳腐な presentation はできません。日本人の発表 (RSNA 、さらに言えば医療に限った話ではありませんが) は、準備が足りない、独りよがりの内容だという風評があることはとりあえずおいておくとして・・・。この集中が勉強になるのです。

  " RSNA 参加 " に関して、獨協医大名誉教授の藤岡睦久先生の下記のような意見があることを付記しておきます。私は、70 % 賛成です。ただし、私のように、興味分野が PACS, 骨軟部腫瘍、頭頚部腫瘍、画像処理というように広範囲の場合、専門の国際学会にいくつも参加するというわけにはいきません。それに専門分野の学会発表は視野が狭い発表が少なくなく、それだけでいいのかなとも思います。また、アメリカの " 開業医 " と日本の " 開業医 " はかなり違うので、アメリカの開業医の仕事の形態や放射線科のことをあまりご存じない方は、誤解しないよう注意が必要です。

" RSNA 自体は学術的な専門性のレベルから言えば、それほど高い評価があるわけではない。観客としての出席者が北米の開業医が対象であり、その延長として、世界中から放射線科医が集まっているのであるが、あくまでも勉強を教える対象、すなわち学校であれば生徒の数が多いという評価である。本当に研究者として斬新で高いレベルの研究発表がどこで行われているかといえば、それぞれの専門分野の学会である。< 中略 > RSNA は、それぞれの専門分野の人間が、1 年に 1 度のお祭りのために呼び寄せられて、演出している学会であることをきちんと把握してほしい。我が国の医師が国外の学会に参加するのは費用の関係で大変である。放射線科を始めて間もない若手に勉強のために何回か参加させるのは良いと思うが、年に 1 度しかいけない国際学会を RSNA にはしないでほしい。特に若手の教授に申し上げたい。RSNA の展示で賞を取ることを研究の目標にしないでください。ご自分の専門分野で、対等に語りあえる友人を世界中に作ってください。 " (RSNA 2006 digest "Pediatric Radiology Series" 藤岡睦久 Views Radiology Vol.9,2,2007 より抜粋)

(注 : RSNA の学会賞の対象は、educational 部門と medical informatics 部門であり、original 発表部門は、学会賞の対象からはずれています。ですから、学会賞を研究の目標にするということはあり得ないような気がします。educational 部門だって、多少の originality は要求されると思いますが・・・。ECR (ヨーロッパ放射線学会) は、original 部門も学会賞の対象なので、研究を ECR に発表する人もでてきているようです。発表するなら、学会賞をもらいたいという気持ちはわかります。成果を問われる時代です。大学は、成果に応じて予算配分されています。学会賞をもらうことは、論文書くことに次ぐ、わかりやすい成果かもしれません。)

 

 

 

発表が認められるまでの経過

RSNA での抄録受付は、例年、2 月終わり頃に開始され、4 月の中旬頃が締め切りでした。締め切りは、日本放射線学会の直後と覚えておくと便利でしたが、2011年は3月31日が締切りとなっています。たぶん、発表申し込みが多くて、審査が大変なのだろうと想像します。今後は、3月一杯で固定される可能性があります。注意してください。発表の申し込みは インターネット( http://www.rsna.org) を通じて行います。入力は結構面倒なので、あらかじめ発表者の名前やタイトルなどを書き込んでおき、一時的に保存しておき、その後、推敲を重ねて、完成してから申し込むのが良いと思います。締め切り前日、当日は大変混雑するので、前前日までに、申し込みを完了したほうが良いと思います。申し込む( Submission ボタンを押す)までは、すべての項目に対して、いくらでも直しが効きます。正式に申し込むまで、ユーザー ID に対して、タイトル別に登録番号が振ってあるので、パソコンの電源を切っても問題ありません。復帰するときは、ユーザー ID とパスワードを入力します。私は、2000 年までは、郵政省メールで申し込んでいましたが、2001 年以降は、インターネット申し込みです。郵政省メールで申し込んでいた時は、締め切りの少なくとも 5 日くらい前までには、国際郵便局に行って投函しなくてはならず、大変面倒でしたが、今は楽です。インターネット申し込みは、ぎりぎりまで推敲できるのは良いですが、それでも結構ストレスがかかります。発表申込者の登録などもしなくてはなりません。abstract をメモ帳などに書き込んで copy & paste できる状態にしてから登録を始めたとしても、1 時間ほどの時間を見込んだほうが良いと思います。完成していないのに間違って登録 Submission してしまった場合は、削除依頼のメールを出して削除してもらってください。自分で削除することはできません。

抄録 Abstract の英文の簡単な文法ミスやスペルミスをしないようにしましょう。英文のミススペルが多いと、それだけで落とされるという噂があります。申し込みの文書を読まされる身になってみれば当然でしょう。コンピュータによる英文のチェックには、MS WORD の英文チェック機能と、英和翻訳ソフトを使うのが良いと思います。( 自分の英文を日本語に機械翻訳させることで、英文のチェックをするのです。翻訳ソフトは、かなり不完全ではありますが、自分の専門分野の英語論文を2,3編、翻訳させて、おかしな用語を登録するだけで、かなり使いやすくなります。英語のつづりを勘違いして覚えていることがあるので、自分の目でチェックするというのはやめておいたほうが無難です。共同演者のドクターにチェックしてもらうことも有効な方法と思います。有料の英文チェック会社を使うのもひとつの手です。英文チェック会社では、内容や書き方も、チェックしてくれます。たかだか申し込みの abstract 作成に英文チェック会社を使うのか、と思う方もいるでしょうが、私の知り合いの何人かは使っています。単なる英文チェックではなく、内容にも踏み込んだチェックをしてくれる会社もあります。abstract は、正式の論文に比べれば短いというだけで、英語として易しいわけではありません。

日本人が大文字を使いすぎるというのが、海外の一般的な雑誌編集者の評価になっています。それで落ちるということはないのだろうと思っていますが、注意しましょう。アルファベット圏の人達の目には、全部大文字で書かれた単語は非常に異様に映るのだそうです。例: McCormick と MCCORMICK, Angiography と ANGIOGRAPHY 。日本人にしてみれば、ちょっと強調してみた、ぐらいの気持ちなんだろうと思いますが ・・・。他には、ハイフンの使い方が日本人は下手だと言われています。

* 2007 年の RSNA からニュースが来ましたが、その中に ”発表申し込みに成功するためには” 、という文章があったので要約します。 original 研究の発表に関するものと考えてください。この内容は今後もずっと通用すると思います。教育展示の申し込みには、別の注意が必要だと思います。

  1.発表内容は科学であること。abstract は完成されたものでなければならない。
  2.症例数の最低は問わないが、1 例報告は認められない。
    少数の場合でも、意義があれば認める。
  3.negative study ( やってみたが、有意差が出なかった。)は、原則として認めない。
  4.新規な研究であること。
    ただし、以前発表されたテーマでも、症例数を増加させて、以前の研究内容を補強するような研究は認める。
  5.実際にまだ行っていない発想の段階の研究は認めない。
    (注: medical informatics 部門では、発想だけでも認めているように思います。)
  6.目的 purpose は非常に重要である。
    単に、これとあれを比較しました、というような記載は目的としては認められない。
    研究の意義、臨床上の有効性を書くこと。
    (注: 2007 年から、clinical application ( 臨床応用)という欄が増えました。)
  7. 95%の信頼範囲を結果として書くこと。
    結果の評価は、検定(有意確率: p)か、推定(信頼範囲)かということになりますが、
    信頼範囲のほうが精度が高いとされています。
  8.結論は明瞭に書くこと。
  9.母国語が英語でない場合、native (英語を母国語とする研究者、もしくは英文チェック会社)に相談すること。

発表者は、例年、自分も含めて、6 人までですので、誰を入れるかよく考えておいてください。2004 年から、共同演者には、発表の申し込みがあったという電子メールでの連絡が RSNA から、送られるようになりました。共同演者には、あらかじめ言っておいたほうが良いと思います。共同演者は、RSNA のサイトで、abstract を見ることができます。申し込み済みの発表を中止するとペナルティがあります。詳細は不明ですが、翌年の発表が認められなくなるようです。ECR (ヨーロッパ放射線学会)は、演題発表が認められた時点で、再度、発表するかどうか確認してくれます。しかし、RSNA は、発表が認められたら、必ず発表しなくてはなりません。faint 的な発表申し込みを (いっぱい申し込めば、どれか通るだろうという発想の)避けるためだと思います。複数申し込んで、全部通ってしまうことがあります。準備が大変なことになりますので、時間的余裕があるかどうかよく考えましょう。私の昔の同僚は、3 つの申し込みが通ってしまい、学会間際には、血尿が出るくらい準備が大変だったと言っておりました。

発表が認められるかどうかは、おおむね毎年 7 月の中旬頃にわかります。発表が認められると RSNA から、電子メールが来ます。2011年は、scientific paper/poster 部門の応募演題数 7188 題に対し採択演題数 3019 題 , education 部門の応募演題数 5146 題に対し採択演題数 2124 題でした。採択率は トータルで 41.7% です。ちなみに、ECR( ヨーロッパ放射線学会 2006年)は、応募演題数 4196 に対し採択数 1596 題でした。以前より、やや通りやすくなったように思います。2006年は37%でしたので・・・。後述するように、演題発表には条件を守る必要があり(倫理審査、利益相反の開示)、以前と条件が異なってきたのだと思います。発表する部屋は、Lake centerの地下を使用するようになって広くなりましたので・・・。RSNA への応募演題数が 1 万題を越えたのは、2006 年が初めてだそうです。発表が認められた場合、RSNA からは、発表に関して重要なメールが時々来ますので、来たら、必ずじっくり読むようにしましょう。何らかの response を求められることがあります。

発表には 4 つの形式があります。oral scientific presentation (学術口演) , poster scientific presentation (学術展示) , educational presentation (教育展示) , medical informatics (医療情報)の 4 つです。申し込み時に選択します。scientific presetation には、oral 形式と poster 形式があります。original 論文の形式で、いわゆる”原著”に該当するものです。どちらか一つ、あるいは、どちらでも良いようにも選択できます。あまりはっきりはしていないのですが、oral のほうが scientific poster よりも採択されにくいようです。私は、英語が得意ではないので、2001 年は、scientific poster で申し込んだのですが、oral での発表になってしまいました。場合によっては、こんなこともあるようです。scientific poster は、2004 年から、e-poster 形式(パソコンを使った電子発表)のみになっています。

educational presentation は、教育的意義のある発表です。いわゆる、”総説”に該当する発表です。originality は低いが、特定の切り口でまとめてみたという発表です。絵が重視されており、非常に美しいポスターが並びます。educational presentation には、学会表彰制度があります。優秀な作品は学会 4 日目に表彰され、学会誌である Radiographics への優先的投稿が認められます。educational presentation は、紙の掲示と e-poster 形式の2つから選択することができます。本来は original の発表なのに、educational 部門で発表するケースが増加しているようです。申し込みが増えていることは、教育を重視する RSNA としては悪いことではないのでしょうが、educational 部門は、質疑応答がないので(要するに発表しっぱなし)、問題視されているようです。このため、educational 部門への申し込みは、教育的意義のあるものに限ること、という警告が出ています。数値で有意性を問うような発表は、scientific 部門に発表することになります。2007 年から、educational 部門の発表申し込み方法が厳しくなっています。発表申し込み時に、内容(特に教育的意義や教育上のポイント)をかなり細かく詳細に書かなくてはならなくなりました。educational 部門は表示するだけで、説明する機会はありません。ポスターは貼りっぱなし、パソコンも置いておくだけです。紙の Poster であれば、知り合いに頼んで貼ってもらえばいいし、e-Poster であれば、日本からアップロードすれば、後、何も必要ありません。アメリカまで行かなくてもいい、というのは、ある状況においては (どうしても病院を留守にできないとか) 、相当のメリットだと思います。ちなみに、私は、educational presetation の経験がありません。すべて original 展示、original 口演、もしくは、medical informatics です。

original 部門の発表が学会賞の対象にされていないことは、謎となっています。たぶん、originality の評価は難しいからではないかと想像しています。本物かどうか判然としない研究に、学会として賞を出すわけにはいかないのでしょう。もうひとつ、上記の藤岡先生のメッセージを読んで思ったのですが、学会賞ねらいが加熱して問題が生じていたのかな、とふと思いました。根拠はほとんどありません。2000 年以前は、original 部門も学会賞の対象でした。2001 年以降、 original 部門は、学会賞の対象からはずれていますが、正式な理由の発表はありません。ECR (ヨーロッパ放射線学会) では、original 発表も学会賞の対象ですが、審査の基準がよくわかりません。RSNA では、original poster に 5 段階評価をつけられるようになっているのですが、学会賞とは関係ありません。

medical informatics は 、画像情報関連の発表で、機器を持ち込んでプレゼンテーションします。600 ドルが RSNA から支給され (2001 年までは 800 ドル。パソコンの費用の低下に応じて、下がっていくらしい)、この費用で機器類を用意して発表することになります。現地でパソコンを借りる人が多い印象ですが、日本から機器を持ち込むグループもあります。medical informatics 部門は、PACS 、医療教育、画像解析法の開発、電子カルテとの連携、画像データベースなどがテーマとなっています。すぐれた発表が学会賞の対象となっています。educational 部門と違って、originality が強いもののほうが、受賞の対象になっている印象です。中には、概念だけを表示して、実体はまだないのに学会賞を受賞している発表もあります。

補欠 (alternate) という返事が RSNA から来ることがあります。これは、申し込みのときに、補欠でも可という項目をチェックすると認められるみたいです。正規の発表ではないが、空きができた時に、正規の発表者に繰り上がるという仕組みです。プログラムに名前も発表も載りませんし、当日にならないと、発表できるかどうかわからないようです。私の同僚は、当該セッションの前日に、”発表してください”という電子メールが来て、あわてていました。2007 年の発表申し込み時には、alternate の項目が見あたりませんでした。見逃したのかもしれませんが、もしかしたら、もう補欠という制度はなくなったのかもしれません。

学会の参加費はかなり高いです。会員でない場合、当日参加だと 8 万円前後です ( 2007 年時点 : 720 ドル) 。レジデント・学生はもっと安いです (230 ドル) 。ただし、証明が必要かもしれません。 RSNA の会員は発表しなくても無料です。発表の筆頭演者は、RSNA 会員でなくても参加費用は無料です。RSNA 会員でない場合、発表者の特定ができず、筆頭演者にもかかわらず参加費を請求されてしまうことがあるようです。私の後輩が、そういう破目になりました。クレームのメールを出せば対処してくれます。黙っていたら会費を取られてしまいますので、注意してください。メールしても本当の担当者がなかなかつかまらず、あちこち、たらいまわしにされたそうです。参加費は、もう少しで飛行機代がでてしまう額ですから、頑張る価値はあります。10 月末くらいまでに事前登録をすると、上記の金額から 100 ドルほど値引きされます。レジデント・学生は 130 ドルですみますので、是非、事前登録をすませてください。

Conflict of Interest (利益相反)の disclosure (開示) に関して、アメリカの学会はかなり神経質になっています。disclosure とは、一般的な用語としては、利害関係の公表という意味です。利益相反とは、片方の利益がもう一方の不利益になる疑いがある場合を言います。定義はわかりにくいですが、たとえで言えば、ある薬の効果を評価する研究を行う場合、製薬会社から資金援助を得ていれば、その製薬会社に利益をもたらす研究結果を発表する可能性が高くなり、それが患者の不利益になる、と言い換えれば良いでしょう。2011 年時点で、おおむね 100万円前後が申告の基準のようです(2011年時点では日本放射線学会も同額)。申告しなければ罰せられます。利益相反が存在する医師は、共同研究員にはしても、評価をする仕事からははずすように求められています。企業などから資金を受けている場合、不公正な結果をもたらす可能性があると考えられるようになったからです。ただし、”資金援助=不正” ではありません。資金やなんらかの恩恵を受けていることを ”発表を読む人、聞く人に知らせる(開示する)” ことが必要ということです。学会および学会誌の信頼性に疑義がもたれれば、学会の存続が困難になります。これは、スタンフォード大学の例ですが、日本でもほぼ同様です。2008 年に厚生労働省がかなり厳格な基準を決め、家族も含め、企業との関連を持つ場合には申請して利益相反審査委員会(倫理審査委員会が兼ねていることも多い)の許可をもらう必要があります。具体的には、自分あるいは自分の家族が、企業からなんらかの資金・給料を得ていること、該当企業の株式を持っていることが該当します。詳細は厚生労働省の利益相反のページをご覧ください。2007年に、日本人がアメリカのリウマチ学会で発表したことが、利益相反開示違反として問題になっています。なお、アメリカでは、2012年から、さらに企業との関連を厳格にした法律(Sunshine条項)が動き出しますので(10ドルでも資金援助をうければ申告する必要がある)、日本人はかなり注意する必要があります。ヨーロッパの学会は規制がゆるい印象がありますが、多分、大人だからだと思います。鉄道の改札やスーパーマーケットの販売法についても、それを感じます。個人を信頼するのがヨーロッパのやり方です。

 

 利益相反に関するアメリカの規制 【医療保険改革法 Sunshine 条項 2012/1/1 より施行】
    1. 報告対象の活動
      食事、娯楽、物品提供、旅費、コンサルタント料、謝礼、研究に対する拠出、教育や会合に対する拠出、株・ストックオプション、投資に対する利益、ライセンス、寄付
    2. 報告の詳細
      医師名、住所、専門、保険医番号、対価の額、日時、支払いの形態、薬剤に関連した場合にはその製品。
    3. 10 ドル以下の対価は開示の対象外。ただし、年間 100 ドル以上は開示の対象。
    4. 罰則: 1 件の申告漏れにつき 1 万ドル。

 ** なぜ、こんな細かいことを書くかというと、アメリカで発表する限り、アメリカの法律が外国人に適用される可能性があるからです。

 ** 日本製薬工業協会が 2011 年 1 月 19 日、類似の規制を作りました。強制力や罰則がないことと、アメリカの規制と内容が微妙にズレているのが気にかかります。

もうひとつの注意事項ですが、人体および人体から得られたデータを使った発表は、所属先の倫理審査委員会の審査を受けた研究結果であることが必須です。介入研究はもちろんのこと、疫学研究もです。介入研究とは、人間・人体になんらかの操作を加えて結果を得る方法を言います。すでに得られている医療情報だけから新しい知見を得ることを疫学研究といいますが、患者の了解および所属先の倫理審査委員会の了解を得ずに、自分でデータをまとめて発表するということが 2008 年以降、日本でもできなくなりました。RSNAの発表申し込みには、倫理審査を受けているかどうかのチェックボタンがあって、それをチェックしないと、発表の登録ができないようになっています。ことさらに、私が厳しいことを言うつもりはありません。これが世界における、人間を対象にした研究の常識だということです。締め切り間際で、これに気づくともう間に合いませんので、早い段階で、きちんと対策をしておく必要があります。一例報告は研究として認められないので、倫理審査委員会の承認は必要ないわけですが、そもそもRSNAでは一例報告を認めていないので、機器の開発や動物を使った研究を除く、人間・人体を対象とした研究発表は、倫理審査委員会の審査を通っていることが必須ということになります。

 

学会プログラムについて

発表には、様々な記号がついています。部屋番号だったり、内容だったり。 私が調べた範囲でわかったことを書いておきます。なお、原則に従ってないものもあるので注意してください。CME コードは2文字でSubspeciality を表しており、わかりやすいのですが、残念ながら、異分野が同じコードだったりします。

  PS: 参加者全員に対するもの。(Plenary session)
  SS: オリジナルの口頭発表。 (Sientific session)
  R : 教育コース。 (Refresher course)
  SF: 議論の対象となっている事項。 (Focus session) 
  C : 今や日本でも人気の実際の臨床例を検討するセッション。(Case based medicine)
  E : 教育コース。 (Essentials) 
  V : 複数の演者による教育講演  
  I : コンピュータ部門。(Informatics)
  M : 複合分野 (Multisession)
  LL: はっきりわかりませんが、たぶん、Lakeside learning center 要するに教育ポスター、オリジナルポスター。

  2文字目    O : 腫瘍部門 (Oncology: 例えば、RO は、悪性腫瘍に対する教育セッション )   
          P : 小児科 (Pediatrics)
          B : 乳癌 (Breast)
          E : 救急医療 (Emergency)   
          I : インターベンション (Interventional)
          N : 神経(Neuroradiology)
          U : 泌尿生殖器 (Urinary)
          C : 胸部 (Chest)
          G : 産婦人科 (Gynecology)

 

ポスター ( 紙)発表時の注意

紙のポスターは、今後も残っていくのだろうと思います。ECR (ヨーロッパ放射線学会)のほうは徹底していて、紙のポスターは一切なくなりました。サーバーに発表内容を保存しておけば、自宅で発表を見ることも可能です。ウイーンまででかけていかなくても成果を見ることができます。ECR では、閲覧用のパソコンも少数しか会場に用意してありません。電子化を進めていく ECR と、シカゴに実際に参加することを推奨する RSNA という図式です。電子ポスターの扱いに、両学会の考え方の違いが如実に表れていると思います。

コンピュータ発表のメリットは2つで、一つは、発表者が大きな紙筒を持って歩かなくて良いこと、もう一つは動画が使えることです。しかし、発表者のメリットは、この2つだけです。参加者には、動画が見えるというひとつだけしかメリットがありません。ECR( ヨーロッパ放射線学会)は、インターネットにより、発表を自宅でも見ることができるという大きなメリットをもたらしました。しかし、RSNA の場合は、電子ポスターのごく一部だけしか見ることができません。しかも、論文形式の ECR と違って、RSNA の場合は口演形式 ( PowerPoint のスライド原稿)なので、あまり見やすくありません。コンピュータ・モニターでの発表は世の中の趨勢なのかもしれませんが、RSNA の場合、今後も、紙のポスター展示がなくなることはないのではないかと想像しています。実際、会場でいろんな方と話をしましたが、紙ポスターのほうがはるかに見やすいという意見が多いです。

美しく、また、興味ある切り口で検討されたポスターを仔細に見ていくと、学問に国境がないのをつくづく感じます。そういうことが実感として感じられるだけでも RSNA に参加の価値は十分にあるのだろうと思います。また、じっくりと見ていくと、一生懸命、工夫しているのが感じられるポスターがかなりあり、自分も頑張らねば、という気にさせてくれます。

下記の絵は、紙ポスター( educational) 発表の写真です。original poster 発表は、すべて電子ポスターとなったため 、数はかなり減っています。2 日あれば興味のあるところは全部読めるくらいになりました。凝った絵が大量に展示されるので、写真で撮って勉強に使いたいところです。ところが、2003 年から、ポスターの写真撮影を許可するかどうか、発表者があらかじめ申告するようになり、その許可がでていない発表は写真撮影ができなくなりました。写真撮影不可という注意書きが付いた美しいポスターが少なくなく、今までよりも不便になった印象です。2002 年までは、個人用にしか使わないという誓約書にサインすれば、すべてのポスターが撮影できたのです。現実には、すべてを撮影する、なんてことはできませんでしたが・・。

 

 

 

ポスターは、RSNA 開催日の前日に貼ることになっています。会場係りがいて、ポスターの後ろに貼る接着用の紙をくれます。

ポスター発表部門は、original 形式と educational のポスターがあります。この2つの境界はかならずしも明瞭ではありません。educational presentation なのに、scientific の形式( Introduction, Material & Method, Results 、Conclusion, Reference) をとった発表もあります。さすがにサイエンティフィックの方は、きちんと scientific の形式で書いてあるのが普通ですが・・・。教育展示のポスターには、方法や対象を全く書いてないものもありますが、もうちょっと方法などを書いてもらいたいと思う発表も少なくありません。現在は、scientific の発表を紙で発表することは認められておりません。

educational poster ( 紙形式)では、全体をひとつなぎで印刷されたもののほうが、凝ったものが多く、学会賞もついていたような気がします。2 面よりも 3 面のほうが賞をもらいやすいように思えます。でも、面が多いと採択率が低いという噂を聞きました。A3 の紙を並べて貼ったものは賞が少ない印象です。ですから、できれば、A0+ くらいのプリンターで、全体を一枚として印刷したほうが良いと思います。これ以上大きいと持って行くのがかなり大変だと思います。

下の写真は私の発表です( 2000 年)。A0+ サイズの 2 面の発表です。使い捨てカメラで撮った暗い写真を画像処理で無理やり明るくしてるので、画質が悪くてすいません。first author でのポスター発表は初めてで(それまで、日本でもポスター発表したことなし)、わけがわからず、大変な苦労の末に作りました。昔は、ポスター発表は (日本においても) 、格下の発表形式ではなかったかと思います。A0+ サイズのプリンターが簡単に使えるようになった 1995 年頃からようやくまともに扱ってくれるようになった形式です。振り返ると、コンピュータを使って発表原稿を作れるようになったのが 1990 年頃ですが、きれいなカラーのスライド原稿ができるだけでした。アメリカの研究施設のように専任のポスター作成担当者がいない日本では、きれいな大型のポスターを作れませんでした。私の病院で A0+ の大型のプリンターを買っていただいたのが 2001 年頃です。他の病院の放射線科医からは相当うらやましがられました。

放射線科医なら誰でもそうでしょうが、日常の診断業務の終了後に作業をするので、夜中しか作業時間が取れず、この時 ( 2000 年) は、学会直前に 4 日間、病院に泊まり込みすることになりました。結局、自宅に帰ることができず、病院から成田空港へ直行しました。ようやくできあがったポスターは、ちょっと派手かなと、作った時は思っていたのですが(これでも 4 色刷りなんです。)、会場に来てみたら、みんなものすごく派手なので、驚いてしまいました。なかなかと自分では思っていたのですが、他の派手なポスターの中では、非常に地味な存在になってしまいました。派手すぎだな、と思うくらいでちょうど良いみたいです。私のポスターのすぐ横の発表のように、A3 の用紙を単に並べたようなそっけない展示(フランス人の発表)も、たまにはあります。大事なのは内容なのはわかるのですが・・・・。ポスターは大量に展示されるので、まず興味をひかなかったら読んでもらえません。派手で美しいポスターを作ることは非常に大事です。奥ゆかしいことには何のメリットもありません。

私の発表の写真からではわかりにくいかもしれませんが、1 面のパネルの大きさは幅が 1m で、A0+ のプリンター幅が 96 cm なので、左右に 2cm 余ることになります。縦の大きさは、よくわからないのですが、A0+ のプリンターで打ち出したままだと、10 cm くらい枠からはみ出ます。横方向は重なってしまうと、読めなくなる部分ができて、まずいですが、縦方向は多少はみ出しても問題ありません。もっといいのは、もっとサイズの大きい紙が印刷できるプリンターを使って、横に印刷することです。そういうプリンターは世の中に存在しています。それだと、何面でも全体で一枚の紙として展示ができます。これがもっとも美しい紙のポスターの作り方だと思います。ただし、自分の勤務先に設置してもらわなければ、何回も印刷して手直しする、なんてことはとうていできないと思います。

 

電子ポスターについて

RSNA では、紙のポスターを全くやめてしまうという考えはなさそうです。会場で、あるドクターから、”電子ポスターだと、せっかく作っても見てくれない可能性があるので、紙のポスターにしました。”という意見をうかがいました。紙のほうが見やすいのは確かです。しかし、こちらも慣れてきたせいか、電子ポスターでも、結構見られるようになりました。紙のポスターか電子ポスターかは、申し込みの時に選択します。他のところでも書きましたが、scientific な発表は、電子ポスターのみです。

なお、2009年時点で、Scientific, Educational ともに電子ポスター発表の原稿は1ヶ月ほど前にアップロードすることを求められます。準備怠り無く! 教育ポスターの締め切りのほうがやや早く、混雑しないように設定されています。紙のポスターの締め切りは、学会初日。口演発表原稿の締め切りは発表前日です。別記しましたが、口演発表原稿は当日でも修正はできるようです。

電子ポスターの大きな欠点は、一覧性が悪いことです。これは、かなり工夫しないと、克服できない問題だと思います。日常のモニター診断と同じ問題です。大きな利点は、動画が使えることです。これは紙のポスターにはできない芸当です。日常の業務でも、スライス送りは、動画みたいにして行っています。これと同じことだと思います。動画機能をうまく生かす必要があると思っています。

電子ポスターディスプレーにおいて、相当まずいと思うのは、PowerPoint のアニメーションです。大量の発表を見るためには、高速に、スライドを送っていく必要があります。スライドを送ったり、もどったりする必要もあります。ところが、スライド送りを素早くやりたいと思う時に、アニメーション機能が邪魔をするのです。スライドを送っていくたびに、のっそりと表示が行われるのは非常に困ります。禁止にしてもらいたいくらいです。口演発表の時は、話すタイミングでアニメーションが行われるので、それほどは問題を感じません。しかし、電子ポスターでは、非常に見にくい。ECR や RSNA の事務局からも、見にくいし、閲覧時間が延びるので、PowerPoint のアニメーション機能は、なるべく使わないよう指示がでています。

2006 年度から、original poster ( コンピュータ発表形式)の発表者は、会期の間に 1 時間だけ、発表の場所にいて、質問に答える必要がありました。その 1 時間は、RSNA から指定されます。これは必須です。一応、メールでお知らせがきますが、日時がわからなくなったら、http://abstract.rsna.org/ から入って、発表の "accepted" をクリックし、さらに、” submission details" をクリックすることにより、時間が確認ができます。 educational 部門(コンピュータ発表、紙ポスター発表とも)には、質疑応答はありません。

2006 年から original poster 発表方式は、フロアーからの質問に答える方式になりました。司会者はおらず、自分ですべて行う必要がありました。2003 年前後は、司会者がポスターの前に立っており、その司会の元に、口演発表と同じように、口頭発表する形式でした。2006 年の original poster 発表の質疑応答システムは、質問者用にブースが区切ってあり、特別な大型なモニター( 36 インチくらいある)が 10 数台並んでいて、一台につき、一演題を表示するようになっていました。発表者が質問に答えます。教育ポスター部門は展示するだけで、質問に答える必要はありません。質問の時間や場も設けてありません。電子ポスター方式、紙ポスター方式ともに、educational poster の発表形式はずっと変化がありませんが、original poster の発表形式は、毎年のように変化しています。

電子ポスターの説明の時に大事なことは、発表者は、ホールの入り口で、発表者であることを受け付けに告げ、封筒をもらうことです。自分の名前の入った封筒を渡されます。記号が書いてあり、最後の数値が、自分の担当するモニターの番号です。私の場合、” BM10" と記載されており、骨軟部部門の 10 番のモニタでやってくださいという指示です。そして、質問した人から、出席証明書のチケット( Attendance Voucher: 3 cm X 6 cm ほどの大きさで、バーコードが印刷されています。下に実物の見本写真あり。)を受け取り、そのチケットを封筒に入れて、質問応答時間が終了後、受付に返却するのです。最初の日は、そうだったのですが、次の日以降から、RSNA 事務局により、大型のモニターのところに、封筒があらかじめ置かれるようになりました。初日に封筒が置いてなかったのは、事務局の不手際と思います。この封筒を出さないと、ペナルティがつく(たぶん、翌年の発表ができない)可能性があります。

昔々、私の同僚が、この封筒 (参加証明書 Attendance voucher を入れる封筒)を日本に持ち帰ってしまい、学会終了後、RSNA 事務局から、”君はちゃんと発表したのか?”というおしかりのメールをもらっています。Attendance voucher は、参加者が質問をしたことの証明、および発表者が質問に答えたことの証明です。アメリカの放射線科医にとっては、勉強したことの証明ですので非常に大事です。アメリカの放射線科専門医の資格の継続に影響します。私の同僚は、幸いにして封筒を捨ててはいなかったので、送り返して、大事には至りませんでした。

 

2006 年に採用された放射線医学領域別のブースでの質問応答の場面
毎日の昼休みに開催されます。

 

 

 参加証明書( Attendance voucher) 見本

 

 

 

 電子ポスターを発表される方へ

RSNA 運営者から公開されている発表ガイドラインについてまとめておきます。ECR の EPOS (電子発表登録システム)とかなり似ています。発表原稿の登録をすると、その原稿が共同演者に配布される(選択できるが、default は配布)仕組みがあります。

RSNA のホームページに、過去の RSNA の電子発表のファイルがいくつか載っていますので、それを見ることをおすすめします。それらのファイルをチェックしてみると、大部分の発表が、ガイドラインに従っていないのが歴然ですが、パワーポイントファイルをどのように作ればよいか、かなり参考になります。一部しかチェックしていませんが(サーバーの反応がにぶいので)、おおむねスライドの枚数は、15 枚から 30 枚くらいのようです。日本放射線学会の電子発表システムは、パワーポイントの note に解説を入れる仕組みですが、RSNA ではそのような仕組みはないので、本文に解説や caption を入れる必要があります。パワーポイントのフィアル以外に、PDF や HTML ファイルでも良いみたいですが、わざわざそんな難しいことをしないほうがいいと思います。本文スライドから、5 枚のスライドを代表スライドとして選ばなくてはならないようです。これらのスライドが、スクリーンセーバーの画像として使用されるという説明でしたが、2006 年は、うまく動いていませんでした。この形式はすでに落ち着いており、日本の放射線学会もほとんど同じだと思います。

  RSNA ePoster 部門発表ガイドライン

1) ハードウエアは、Windows PC(Memory 1GB, CPU Pentium 4), 18 インチ液晶ディスプレー , 画像解像は 1024 X 768 である。OS は、Windows である。(たぶん、Xp)

2)タイトルは、36~40 ポイント、本文は 24 ポイント以上のフォントであること。書体は、Sanserif を推奨。赤色と緑色の字を使わないこと(色覚障害者への配慮と思われる)。字は明るい色で、バックは暗い色で。他のフォントとしては、Times New Roman, Arial, Verdana, Tahoma のどれかであること。ひとつのスライドには、フォントは 2 種類までにすること。

3)文章は 7 行を超えないこと。(注:これは、まず守れない。実際、日本人に限らず、ほとんどの発表者が守っていない。)

4)画像は、800X600 ピクセルくらいに縮小した JPEG 、もしくは TIFF であること。(私はいつも大きく作って、画面上で縮小しています。縮めたほうが拡大するよりきれいだろうと考えているからですが、最初から縮小したサイズの画像を insert することを RSNA は勧めているように思えます。)

5)アニメーションは最小であること。(注:自分で口演発表するのであれば、アニメーションもうまく動作するでしょうが、画面送りの操作を、他人が行うのであれば、トラブルを生じる可能性があります。)

6)動画や音声ファイルは、同じフォルダーに入れること。

7)誤字・脱字を事前にチェックすること。

8)バックアップを USB 、CDR などに取っておくこと。(よくわかりませんが、うまくいかなかった場合、現地でもう一度 upload させてくれるのでしょうか?)いずれにしても、必ず持って行くことをおすすめします。

9)電子ポスター会場では、カメラやビデオの使用は禁止されている。

10)すべての電子ポスターのファイルは、学会終了時にコンピュータから削除される。

 

 インターネットでの登録がうまくいかない人のためのヒント

1) 2006 年度は、許可されたスライドの最大枚数は 40 枚でした。登録画面になって初めてわかりました。しかし、いずれにしても、30 枚を超えるようなスライド数はやりすぎのような気がします。自分だけの発表ではないことを考慮してください。こういうことを考えると、教育プレゼンテーションは、動画がないのであれば、紙のほうがおすすめですね。

2)最近の病院のネットワークは、プロテクトがきつく、登録がうまくいかないことがあります。たいていは使えるネットワークのポートが限定されているので、それが原因です。その場合は、自宅でやってください。

3) RSNA の登録システムは、原稿の確認のため、サーバーは、登録時に、すべて FLASH というフォーマットの形式に作り直します。このときに、絵や矢印、テキストなどの関係がずれてしまうことがあります。そうしないためには、文字を含め、すべての内容をグループ化しましょう。少なくとも、私はそれで問題が一切生じていません。ただし、この方法は、PowerPoint2007 では、うまくいかないことがわかりました。図とテキストをグループ化することができないのです。

4)登録締め切り当日はもちろんのこと、前日も非常にシステムが混雑します。前々日だと、まず問題ありません(保証はできませんが・・)。私も結局 2006 年度は、前々日に最終ヴァージョンを upload することになりましたが、非常にスムーズでした。前日は、かなり大変そうです。当日は、もしかしたら、upload をあきらめなくてはならない事態に陥る可能性があります。その場合どうなってしまうのかわかりません。事務局に泣きついて、時間遅れで upload させてもらうか、あるいは発表できなくなってしまうのか・・・。紙のポスターでも、発表取りやめという掲示が時々でていますので、学会にとっては、発表できなくなる人が少数いても問題はない可能性があります。要するに、発表不可になる可能性があるということです。動画に関しては、さらに 2 ,3 日早めに upload したほうが良さそうです。登録に格段に時間がかかります。サーバーの負担が大きそうです。せっかく作ったファイルが upload できなかったら悲惨です。動画を使わない発表原稿も作っておいて、いざというときは、そちらで発表するとか・・・。別記もしましたが、電子ポスター発表において、動画を使うのは非常にすぐれていると思います。動画表示ができることだけが、紙ポスターに比べてすぐれている部分だと感じています。

5)前年度の発表の一部を RSNA のホームページで見ることができます。是非、参照してください。

 

 

口頭発表時の注意

英語の勉強は必須です。発表が認められる前から、英語の勉強を始めましょう。英語の勉強法のベストを知りません。とにかく普段から勉強するしかないです。

英語がどうしても駄目な場合、学会に申し出ることにより、通訳(補助者と書いてある)がついてくれるようになったみたいです( 2006 年)。いつから、こういうことになったのかわかりません。いくらなんでも日本人が対象ということではないでしょう・・・・と思いたい。人数がとても足りませんし、日本人の英語は、ひどいとは言っても、そんなにたいしたひどさではない・・・・と思いたい。この補助者の仕事は、フロアーからの質問を発表者に母国語で伝えてくれるというものです。 もしかしたら、対象は日本人かも・・・。

発表原稿の登録締め切りは、2007 年時点では存在しません。従って、口演発表の場合には、シカゴについてからでも登録は間に合うことになります。随一、口演発表だけはアメリカに行ってからでも原稿を直せるのです。サーバーへ登録した原稿を Speaker Ready Room まで行って、最終的にもう一度、saveする必要があります。なんでこうなっているのか不思議でしたが、実際に登録してみて納得がいきました。それは、この形式だけは、演者がアメリカに来ないと全く成立しないのです。紙のポスターは代理人が貼れば問題ありません。オリジナルの電子ポスターは演者がアメリカに来なくても、 すでにサーバーに発表原稿があるので、とりあえず発表はできます。教育発表は元々演者が説明する形ではありません。わざわざ、口演発表準備室で、直接 save させるのは、演者がアメリカに来ていることの確認を含んでいるのだと思います。なお、実際登録してみましたが、2007 年は PowerPoint2003 が使えたので、原稿のミスをその場で直すことができました。また、ノートへの入力も可能だそうです。説明では、そのノートは演者にしか見えないと言っていたので、自分がそのノートを見ながら発表することが可能です。最初からそれがわかっていたら、ノートにいろいろ書いておいたのですが・・・。

 

Speaker Ready Room 口頭発表準備室 (一つは、North にあります。2001 年と同じ場所でした。)


親切なおじさんがいて、ガイドしてくれます。(2007 年学会にて)
PowerPoint2003 が起動するので、簡単な修正ならその場でできます。

 

Lakeside Center 地下のもう一つの発表準備室
発表準備室は、2009 年は2カ所にありました。
このあたりは変更の可能性があるので、注意してください。

 

口演原稿はいつまで直せるのか ? 発表当日の朝でも可能です。ただし、時間制限があるかもしれません。少なくとも、私は 3 時間前に直すことができました。ちなみに、ECR (ヨーロッパ放射線学会) は、口演の2時間前までに、発表原稿のアップロードを終了するように求められます。発表原稿を直すのはあっけないくらい簡単です。サーバーのデータを直接 PowerPoint で直すか、古いデータを削除して新しいものをアップロードします。それこそ、1 分もかかりません。せっかくのプレゼンですから、最後まであきらめずに、きちんと書き直しましょう。まあ、プレッシャーが大きい発表方法ですので、これくらいのメリットがないと、いいところがありません。ただし、本質的なことでないことにぐずぐずしてパソコンを長々と占領してしまうのはやりすぎだと思います。Speker Rady Room(口頭発表準備室) は、そんなに広いわけじゃないですから、みんなの迷惑も考えましょう。

セッションとセッションの間には、必ず”間”が設けてあります。自分が発表するセッションのこの”間”の時間に、司会者( Chair person) に挨拶してください。強い握手もしてください。(司会者が女性の場合は、どうすれば良いか不明。握手は、こちらからは求めないほうが無難かも・・。弱い握手は、自信のなさのあらわれで、アメリカ人は嫌うそうです。強く握ってください。)。司会者は、この挨拶により発表者が会場に来ていることを知ります。司会者の英語がわかりにくいこともあり、こういう時は、もうどうしようもありません。時間が過ぎるのを待つしかありません。私は、これにあたってしまいました。同じ会場にいた私の同僚も司会者の英語が聞き取りにくかったといってましたので、私の責任だけではないと思っています。

  最初に、感謝の言葉を言います。どう言うのが正しいのかわかりませんが、" express gratitude for " というフレーズを入れるのが無難みたいです。あまりに丁寧な表現は堅苦しいし、あまり良い発音でないのに、長々としゃべると聞き取ってもらえないと思います。正しい英語らしい表現かどうかは、たいした問題ではないです。" express ", " gratitude" ," present " ,"listening" は強く発音してください。


例 1: First of all, We wish to express our gratitude for being to present and for your listening. 
例 2: First of all, I would like to expres my gratitude to RSNA and to the audience.

 

実際の発表会場ですが、日本放射線学会の発表会場とそれほど違いはありません。
司会者は2人です。

発表会場には早めに行くようにしましょう。ご存知のとおり、2001 年は、ニューヨークのテロ事件のため、参加者がかなり減りました。驚いたことに、発表者が会場に来ていないと、発表を、どんどん繰り上げてしまうのです。クレームをつければ、後の順番で発表させてくれるような気はしますが(確認できてないですが、さすがに言葉の国です。文句を言えばなんとかなると思います。)、日本の常識は通用しないので注意が必要です。進行状況を時々確認することが必要です。私は、是非、聞きたかった発表が、かなり前に終わってしまったのを知って、呆然としました。いくらクレームつけたって、講演を、もう一度はやってもらえません。

発表時間は、2001 年は、発表 6 分、質疑 3 分でした。たぶん、これより短くなることはないと思います。時間延長には非常にうるさいです。前の日には入念に発表時間を測定してください。だいたいスライド 1 枚で、45 秒から 60 秒くらいです。今回、他の人の発表を聞いていて思ったのですが、スライド 1 枚 20 秒くらいでも、わかりやすいスライドであれば、なんとかなります。20 秒よりも短いと、どんなにわかりやすいスライドでも、見ている人が理解する暇がないと思います。スライドの内容をすべて話す必要はないし、全部話そうとすると、出せるスライド枚数はかなり減ってしまうと思います。スライド・原稿の丸読みは、最近はどこの学会でも(日本の学会でも、日常のカンファレンスですら)批判の対象になっています。ポイントだけ説明しましょう。秀潤社から出版されている高原太郎先生(杏林大学放射線科)の "PowerPoint 疑問氷解 " は、非常にわかりやすい本です。一読をおすすめします。参考になる意見がいっぱいあります。動画の作り方も参考になりました。

私の知人は、自分の原稿をネーティブの人に読んでもらい、それを MD に入れて練習していました。こういうネーティブの知り合いがいれば、発表を聞いている人に対して、非常に良い発表ができると思います。ただし、質問に答えられるかどうかは別だと思いますが。

  発表のヒント :

質問を日本人が適切に聞き取るのはかなり難しいと感じています。英語国に留学した人は大丈夫みたいですが・・・。その上に質問に答えるのは相当の難関です。私も好んで口頭発表にしているわけではないです。口頭とポスターのどっちでも良いとしたために、口頭になってしまった場合もあれば、ポスターオンリーで申し込んだのに口頭発表になってしまったこともあります。同じオリジナルの発表でも、口頭とポスターではプレッシャーがまるで違います。口演のほうが聴衆がはるかに多い。そこで、私がこころがけていることをご紹介します。

  それは簡単なことです。想定質問回答集を作っておくのです。日本の大臣が、役人の想定問答集に従って質問に答えているのと同様です。発表前に共同研究者に質問してもらうのもいいと思います。発表原稿を作っていて、穴があるなあと思うことがあると思います。日本の学会発表でも同じような経験をされている方は多いと思いますが、自分でも気がついているような穴に関しては、たいていの場合、質問はあまり来ません。研究の穴みたいな高級なことより、もっと基本的な、研究の意義、他の方法との比較といった、発表原稿には書きにくい質問が多い印象です。想定問答文は、なるべく基本的なことがいいです。たとえば、" この病気は日本に多いのか ?" そんな質問するんじゃないと怒鳴りたくなるでしょうが、何も答えられないのは非常にまずい。 特に話題になっていなければ外国とほぼ同じ発生率に決まっているのですから、それを言えばいいだけなのです。想定質問は 30 個くらいが良いと思います。CTに関する発表なら、MRI, PETではどうか? 超音波に関する発表なら、CT、MRI ではどうか? など。30 個の質問を作るのは結構大変だと思いますが、頑張ってください。素人である better half  や医師以外の研究者に発表を聞いてもらって質問してもらうのも意外と良いかもしれません。想定される質問とそれに対する回答文を自分で作って、実際に自分でしゃべってみるのです。いろんな回答文を作っておけば、多少違う質問が来ても、作っておいたフレーズを組み合わせればなんとかなります。作るのは発表の前日でも十分間に合います。他人に作ってもらうのではなく、自分で英文を作ることが大事です。他人に作ってもらった文章では、いざという時にでてきません。何回も自分で発音してみて、作り直すのです。作成のためには、翻訳ソフトの入ったノートパソコンを持っていくことが大事です。多少不完全な英語だって構いません。調べる時間があるのですから、質問された時に、ゼロから、めちゃくちゃな英語の文章を作るよりはるかに良好な文章が作れると思います。これで少しは発表が楽になります。すばらしい英語である必要は全くないです。ですが、まるきり説明できないのはきわめてまずいです。

発表原稿の丸読みは、相当に問題があります。2007 年は、ほとんど PowerPoint の文章を丸読みしてしまったのですが、司会者がいらいらして時計を見ているのをひしひしと感じました。要するに準備不足だとは思うのですが、次回からは、もう少しスマートにやりたいと考えています。最近思うのは、スライドを使った講演発表は、スライドに細かく書いて要点を話すか、あるいは、スライドは極端に簡素化して説明を詳しくするかのどちらかにするべきだろうと思っています。ただし、学会発表であれば、後者の方法は無理です。研究の条件などを細かく書く必要があります。参加者は画面を見ているので、要点のみ、あるいは、画面ではわかりにくいことを補足する、という発表が望ましいでしょう。画面に書いてあることを全部なぞられると、参加者は相当いらいらします。時間も確実にオーバーします。

発表の前日は強いプレッシャーのため、眠れない人が多いようです。私もそうでした。あなただけではないので安心してください。たまには、攻撃といっても良いくらいの質問を受けることもあるようです。それでは、心配で眠れるわけがありませんが・・・。でも、たいていは、基本的な質問に終始するようです。私の経験では、細かい方法がどうのこうの、あるいは数値がどうのこうの、といった質問は聞いたことがありません。研究の意義とか研究のデザインといったような非常に基本的な部分に関する質問が来ることのほうが多いと思っています。演者が基本的な質問にきちんと答えられないのは、学会としては相当まずいのだろうと思います。参加者からクレームが来てもおかしくありません。質疑応答がきちんとできないのであれば、なんのための発表か、ということになります。2000 年の RSNA では、日本人の英語のひどさが事務局で問題になっていたそうです。単なる噂だけでなく、事務局員が、私の同僚(ポスター発表)のところに、”問題はないか・・・”と、確認に来ていましたので・・・。

終わってみると、質問はせいぜい 1 つか 2 つだし、自分の考えていたポイントと違う質問が来ることがほとんどです。準備の大変さに比較してあっけないような終わり方です。たいていは、想定外の質問です。しかし、そういうものなのです。脱力しないでください。質問に答えられればマシと思わなくてはなりません。発表が終わったら、是非、正式論文にしてください。なお、発表原稿そのままでは正式論文にはほど遠いです。相当練り直す必要があります。雑誌 Radiology の editor の発表を聞きましたが、口演にしてもポスターにしても、RSNA での発表原稿は、Superficial であるという判断をしているそうです。かなり深く追求しなおして書き直す必要があります。

  付録 数字の読み方

浮動小数点を英語でどう発音するか、どこを見てもなかなか書いてありません。参考までに、書いておきます。”より少ない”とか”より多い”というような表現は、どんな本でも書いてあるので、ここには書きません。放射線科の世界では、分数やルート記号はほとんど使わないので、それも書きません。たいていの本に出ています。次の式に従って計算した、とでも言えば十分な気もします。 calculated by the formula as follows. (参考資料: 数・式・記号の英語 鵜沼仁著 丸善株式会社) そもそも、こんな細かい数字は、スライドに書けば十分で、本当に大事な数字をひとつ話すことがあるかどうか、というのが実際だと思います。一般的には、こんな発音をしている時間はないんじゃないかと思います。

 

 

Medical Informatics 発表について

以前は、Inforad という名称でした。現在は、medical informatics という名称に変わっています。前記しましたが、RSNA から 600 ドルが支給されます (2002 年度実績)。パソコンの値段の低下に従って毎年下降するみたいです。Windows マシンとディスプレーを 1 週間貸与、インターネット設定等をやってもらうと、おおむねこの額になるようです。Mac の場合は、この値段で結構いいマシンが借りられるようです。600 ドルをオーバーした場合には、自分で支払わなくてはなりません。機器類は、RSNA によって頼まれた専門の業者によってあらかじめ用意され、発表者が帰国した後は、片付けてくれるそうです。

Inforad 展示発表。
業者から借りた、あるいは自分で持ち込んだパソコンとコンピュータディスプレーが大量に並びます。

 

medical informatics は、地道な研究の発表もありますが、アイディア勝負みたいなところがあります。2001 年の RSNA では、無料の DICOM ソフトを 20 個集めて比較した、という発表が学会賞をもらっていて、衝撃を受けました。コロンブスの卵だと思いました。でも、考えてみれば、この研究だって、放射線科医に役にたっている研究であるのは間違いありません。(この研究の発表は、Radiographics で読むことができます)。他の形式の発表もそうですが、手間をかけたから、良い発表になるというわけではなさそうです。やはり、使うべきは頭でしょう。medical informatics は、教育ポスターと並んで学会賞の対象となっています。medical informatics は、オリジナリティあふれるものが、学会賞の対象です。当たり前だと思います。だいたい、見に来る人が多い発表は、受賞対象になると思って間違いないです。

medical informatics 部門は、実は私のもっとも得意とするところなのですが、つらいところは、学会の会期中ほとんど、発表場所にいなくてはならないことです。私の関心は、放射線診断学にあり、PACS は、私の意識のなかでは、単なる道具に近い存在です。以前は、PACS の専門家が頼りないので深入りせざるをえませんでしたし、専門家が道具をおろそかにして、仕事がうまくいくわけがないのですが、もう専門家におまかせしたい。最近は、メーカーもかなりしっかりしてきているので、PACS を医師が管理する必要性は減少していると思っています。もちろん、PACS 領域で、新しいアイディアを出してがんばっているドクター方には敬服いたしております。

 

その他、RSNA に関連して

2008 年 January の Radiology に、最近の Radiology の論文にアメリカ人が減っているという letter と、発表後の論文投稿についての letter が出ています。それによると、アメリカ人の著者が大幅に減っているそうです。しかし、反論として雑誌が国際化され、Impact factor があがってきているのだから仕方ないと述べられています。また、RSNA での発表の後に正式論文を発表することが求められていますが、発表だけして論文にしない国の科学のレベルが低いと述べられています。反論もでてはいますが・・・。(P330 前後) 私も、発表しただけで論文にしていないものがいくつかあります。そのうち、日本人の発表は認められなくなってしまうんじゃないかと気になっています。もっとも、日本人の場合、researcher と臨床医の区別がほとんどないので、quality の高い論文を求められても苦しいです。大学医学部が、臨床系と研究系に分けられつつありますが、同じ事が放射線科医にも必要じゃないかと思います。私は臨床系を選びますけど。現在勤務している病院も臨床以外のことはほとんどできません。基礎系の人と共同研究はしていますが・・・。

2006 年 11 月 26 日の RSNA で、Radiology と Radiographics の editor による、投稿採択についての発表がありました。会場からは、盛んに、Reject についての質問が出ていました。投稿者の恨みは深いようです。Reject された投稿文書は、editorial board のメンバーに送られるそうで、客観性を保つよう努力しているみたいです。Radiographics の査読者は 2 人で、採択率は約 50 % 、 Radiology の査読者は 3 人で、採択率は現時点で 15 % ほどだそうです。採択の形にはいろいろあり、Reject にも 2 種類がある。全然だめなものと直せばなんとかなるもの。Reject の理由の主なものは、過去に写真が使われていたり発表されたりしていること、科学的でないこと、統計処理の誤りだそうです。

学会の最周日まで待たず早めに日本に帰る方が結構いますが、これはもったいないと思います。ポスター展示発表、コンピュータ展示発表の優秀賞の発表が最終日の前前日の午後にあります。これらの優秀な作品を見て歩くことは大変勉強になると思います。表彰された作品は、間違いなく優秀ですが、表彰されかなった作品にも、よくできてると思われるものが少なくなく、時間さえあれば、万遍なく見たいところです。最終日までいると、飛行機が混むのが困り物ですが、それだからといって、優秀賞の作品を見ないのは、RSNA 参加の価値を半減させると思っています。早く来て、早く帰るよりは、遅く来て ,遅く帰るほうをおすすめします。最終日は、機器展示はなく、最終日の前日の午後から後片付けが始まります。一番理想的なタイミングは、最終日の前日の夜の飛行機に乗ることだと思いますが、そういう飛行機は見当たりません。従って、金曜日の朝の飛行機に帰国するのがベストということになりそうです。2007 年時点で、日本向けの飛行機で午後の便はないので、この日は、会場に行く暇はないものと考えてください。

口演のほうは、行く前にあてをつけておかなければ貴重な発表を聴くことはできませんが、ポスター、コンピュータ発表のほうは、うまい手があります。それは、知人にあったら、”何か面白い発表はあった?”と尋ねることです。おおむね、素晴らしい発表が多いのですが、その中でも、”すごい”と言えるような発表を見逃してしまうことは、これで防げます。

 

 RSNA 会員になることのメリット

1)学会参加費が無料である。参加費はかなり高いので、これが無料になるだけで、かなり意味があります。United Airline の正規料金が 10% 引き。正規料金で飛行機に乗る人は少ないとは思いますが・・・。

2)雑誌 Radiology, Radiographics が無料で読める。オンラインで読むことも無料です。最近、古い (2 年以上前に出版された) Radiology, Radiographics は、無料で誰でも読めるようになりましたが、最新の雑誌は、会員でなければ有料です。

日常の診断画像で疑問が生じた場合、PubMed で検索するより、Radiology, Radiographics, AJR, ER 、BJR あたりに雑誌を絞ってから検索したほうが、解決が早いです。結局のところ、画像に関して検討している論文でないと、役にたたないからです。
今なら、ARRS の GoldMiner で検索する方法も採れますが・・。

紙の冊子体を保存しておくのは大変です。最近、1990 年代の Radiology, Radiographics の論文は、ほとんどすべて PDF 化されました。私は、古い Radiographics は、処分してしまいました。紙の論文のほうが読むのは楽ですが、古い雑誌の論文を読むには、インターネットで、PDF ファイルを get して印刷すれば十分です。大型のモニターがあれば、PDF でも紙に印刷しなくても読めます。

3)学会参加の申し込みが、会員以外に比べて 1 ヶ月くらい早い。これでどんなメリットがあるかというと、好きなホテルが選べることです。これは、かなり重要です。実際に参加の申し込みをしてみればわかりますが、会員以外が申し込む時には、便利で、夜も安全で、値段の手頃なホテル( 160 ドル〜 200 ドル)はほとんどうまってしまっています。

4)各種の教育用の資料が無料で読める。有料のものもありますが、会員のみ無料の資料も少なくないです。ARRS (アメリカ放射線学会)も、最近は、この種の資料の充実につとめていますが、RSNA のほうが現時点( 2006 年 12 月)では、はるかに充実しています。ARRS にも今後は期待できそうです。

たとえば、学会開催の Refresher Course の音声付きビデオを無料で、 インターネットを使って見る ことができます。

5)各種の放射線関連の資料がメンバー特別料金で、安く購入できる。

2006 年は、GenitoUrinary の Categorical Course の Syllabus を購入してきましたが、会員なので、3 割引きほどで購入できました。

6) RSNA の公開する教育用資料

2006 年の教育コースに参加し、概略の講義を受けましたが、日常診療にも役にたちそうです。こちらは、上記と違って、大部分が会員以外でも無料です。

** RSNA 会員になるには 、英文の履歴書 Curriculum vitae を作り、学会に申し込まなくてはなりません。審査期間は半年くらいです。シカゴの会場で申し込むと簡単だという噂を聞きましたが、詳細を知りません。私は、3 月に申し込んで、11 月に会員として認められました。日本からの申し込みです。学会のホームページに申し込み法が載っています。

 

 

ホテル・学会会場等

chicago 市の全体図を載せておきます。Google earth の航空写真を編集したものです。( 画像の著作権については確認済みです)。放射線診断業務と同じで、まず、全体を把握することが大事です。Chicago river とミシガン大通りの位置が、大きなポイントです。ミーティングに使われるようなホテルは、川沿いかミシガン通りの近くにあります。それ以外の場所に行く必要はほとんどないはずです。レストランや酒場となると、話がちょっと変わってきます。そこまではわかりません。

全体像の地図を見ると、市街から会場の McCormick Place には、簡単に歩いていけそうなのですが、後記するように、市街から会場までの間は危険ですし、4 Km 以上の距離があり、意外に遠いので、歩かないのが原則です。工事現場だったり、誰もいない公園だったり、廃屋が並んでいたり、資材置き場だったりして、人通りがほとんどなく昼間から不気味な雰囲気です。最近は、通りにショップなどが増えてきて、昼間なら歩いてもいいかなという印象になってきました。しかし、夕暮れ時以降に、一人だけで歩くのはとんでもない話です。

 

東西に走る部分の Chicago river から会場までは、直線距離で、約 4.1 km です。

 

学会に使われるのは 3 つの建物( North, South, Lakeside:2007 年以降は、west も入れて 4 つとなる)ですが、conference center のような小さな部屋も、セミナーで使われます。2005 年には、有名な Osirix(Macintosh パソコンで使える freeware の DICOM 画像表示、画像処理ソフト)の first ユーザーミーティングが、この conference center で開かれました。日本人の参加者は、私と、慈恵医大の中田典生先生、東海大学の高原太郎先生、神戸大学の杉本真樹先生の 4 人でした。

 

第 1 回の Osirix user meeting の風景。黄色のトレーナーを着た人達が開発者達です。
一番左の黄色のトレーナーを着た方が、UCLA の Osman Ratib 先生。
実際にメインで作っているのは、Antoine Rosset 先生という放射線科医ですが、この写真には写っていません。

 

Lakeside center と南・北のビルの間は渡り廊下になっていて、下を高速道路が走っています。会場はかなり広大です。800m x 500 m ほどの大きさです。ちなみに、幕張メッセが 540 m X 120 m, パシフィコ横浜が 280 m X 110 m, ECR の開催される austria center が 140 m X 140 m ほどの大きさです。形は違うし、建物の高さも内部のしきりも違うので、正確ではないですが、投影面積で比較すると、McCormick Place の巨大さがわかります。

会場は、次のような構成になっています。(年度ごとに使い方が変わるので要注意ですが、事前に調査しておくほどのことではないと思います。)

■ 北ビルディング( North) : 機器展示、ファーストフードの店、Metra の駅 。部屋には、 "N" の頭文字。

■ 南ビルディング( South) : 学会の受付、機器展示、口演発表、教育講演、タクシー乗り場 、コートチェック。部屋には "S" の頭文字。

■ 湖畔センター( Lakeside): 2006 年から Lakeside Learning Center と名称を変え 、 コンピュータがリング状に配置されて、あまり動かないで見られる( One stop shopping 方式)が採用されています。他、口演発表、教育講演、コートチェック等。以前は東ビルディングと称されていたようで、部屋には、"E" の文字が付きます。

■ Arie Crown Theater: Lakeside Center の地下 1 階にあります。大きな講演は、ここか South を使うことが多いようです。

■ カンファレンスセンター( Conference): South と道路をはさんで反対側。小さい部屋が並んでいます。

■ 西ビルディング( West): 工事中: 2007 年秋完成予定。2007 年の RSNA 集会に間に合うかもしれません。

North, South, Lakeside のビルにバスが止まりますが、最初は自分がどこにいるのかわからないかもしれません。会場に着いたら、たいていの人が、まずコートを預けます。みんなと一緒に歩いていけば、コートを預ける場所に着けます。邪魔なコートを預けてしまいましょう。コートを預けることを Coat check と言います。無料です。会場が広いので、自分がどこでコートを預けたか覚えておいてください。コートの受け取り票が色別されているので、完全にわからなくなってしまうことはまずありません。帰る時に、コートを受け取るために広大な建物内を歩かなくてはならなくなることがあるので、私は暖かめの日は、なるべくコートを着ないで行くことにしています。Chicago のこの時期は相当寒いということになっているのですが、時々( 2006 年のように)異様なくらい暖かい日があります。

トイレは各所にありますが、ドアの上と下が解放されているので、日本から初めてアメリカへ行った人はびっくりするでしょう。これは犯罪を防ぐために、わざわざ顔が見えるようにしてあるのです。下も空いていますが、下から荷物を盗まれることがあるそうなので、トイレに入ったら床に荷物を置かないようにします。ただ、学会の会場にいるのは、たいていが医師や技師ですから、まず盗まれることはないでしょう。デパートや空港のトイレだと危ないと思いますが。

 

会場の McCormick place の South building 付近の風景
タクシー には、この South building で乗ることになります。

 

すでにオンライン参加登録していて、バッジをもらっている人、セミナー類のチケットをもらっている人は、受付はしなくて良いのですが、プログラムを受け取る必要があります。バッジにプログラム受け取り票が付着しています。バッジやチケットは、郵政省メールで、学会の 3 週間ほど前に送られてきているはずです。会場ではバッジは常につけている必要があります。市内やホテルでも、RSNA バッジを付けて歩いている人は珍しくありません。追加でセミナーを受けたいという時には、受付に行く必要があります。人気のあるセミナーは、たいていいっぱいで駄目ですが、希望を言ってみる価値はあります。私が初めて RSNA に参加した 2000 年は、遠隔画像診断のセミナーが大変な人気でした。私は、自分の発表とともに、このセミナーに参加するのが大きな目的でしたので、むりやりチケットを発行してもらいました。部屋はすごい熱気で、イスに座れなくて、床に座りこんで聴いている人が大勢いました。今でも、その時の情景が思い浮かびます。RSNA で話題になったことは、必ず、後で放射線医学の重要なテーマになります。話がずれてすいませんが、遠隔画像診断は、画像診断の世界を今後、大幅に変えていくことになるでしょう。

タクシー乗り場は、South building にしかありません。夕方はかなり並ぶ必要があります。夜、用事があってタクシーを使う方は、おおかたの講演が終わってタクシー乗り場に人が殺到する前に、センターを出たほうが良さそうです。North building と South building の下を Metra の線路が走っています。Metra の乗り場は、North building と渡り廊下の間にあります。 夕方の Metra はやはり混むようです。

 

会場( McCormick place) の全体図。

 

Lakeside center の1階から、外のMichigan 湖を見たところ。
この季節は例年、外は寒いですが、この年は暖かく、休憩時間に外に出ている人が大勢いました。(2006年)

 

コートチェック(コート預かり)。注目していただきたいのは、トランクも預けられることです。
早朝にシカゴについてしまった、あるいは、学会に早朝だけ参加してから空港に行きたい、というような場合に重宝します。

 

学会の華、Image Interpreter session
いつも参加者はあふれんばかりです。月曜日(2日目)の夕方に Arie Crown Center で開催されます。

 

Image Interpretation Session の大勢の参加者。

 

下の図は、シカゴ市を簡略に図示したものです。建物のおおまかな相互関係だけは合っていると思いますが、記入の関係で距離には相当のゆがみがあることをご了解ください。主な建物と目安の建物などを書きました。Chicago river の北側 (river north とも呼ばれる)のマグニフィセント地区(繁華街)と南側の Loop 地区(中心街)に分けられます。Loop のさらに南側は、South Loop (学会会場 McCormick Place もここにあるという不便さなのですが)と呼ばれ、危険地域とされています。South Loop は、昼間でも歩行での通行はおすすめできません。慣れていない人は、マグニフィセントにしても、Loop にしても一人で夜は歩かないほうがいいでしょう。おおむね、川の北側ほど、高級、安全といって良いです。

 


(上が北方向、右が東)

 ループ地区
銀行なども多く、ビジネス街で、昼間は人通りが多く、なんてことはない通りなのですが・・・。

 

 

シカゴの中心街は、南北に延びる Michigan Ave.( ミシガン通り:図の南北に走る点の集合部分)です。この通りの Chicago river の北側の部分をマグニフィセントマイルと言って、日本の銀座に相当する高級繁華街です。マグニフィセントマイルは、夜でも人通りが多く、一人でも歩けます。夜中の 12 時頃でも大丈夫です。しかし、一歩脇道に入ると真っ暗だったり、誰も通らなかったりするので、注意してください。結局、完璧に安全なところはないものと思っていたほうが良いのかな、と思います。

Michigan Ave. の Chicago river の南側の部分ですが、ループ地区と言われています。ビジネス街といってよく、昼間は安全ですが、夜は人通りが減るので、川の北側ほどは安全ではありません。シカゴ美術館もこの地区にあります。この位置から真西に向かうとシアーズビル(全米1高いビル)に当たります。最近は、開発が進んで、chicago 川の南側も、昔よりは安全になってきているようですが、夕方以降に歩くのは無謀です。 最近、ループ地区に劇場がいくつかでき、夜の 9 時くらいまでは、人通りが増えているようです。

ミシガン湖は、学会の会場でみることができます。湖側から見るシカゴ市はこの上なく美しく、湖から遊覧船で見るのが人気なのですが、この時期は寒いので、閉鎖されています。湖を見たいのであれば、Shedd 水族館から adler 天文台付近を散歩するのをおすすめします。突堤になっているので、湖に浮かぶシカゴ市が非常にきれいです。このあたりは、暗くなってくると、かなり怖い雰囲気なので、夕暮れにならないうちにひきあげしょう。タクシーがほとんど通りません。人通りもかなり少ないのです。私は、タクシーをつかまえようと待っているうちに、どんどん暗くなってしまい、相当あわてました。バスは来るのですが、数字だけの路線表示で、慣れていないとどこへ連れて行かれるかわかりません。サウスだったらまずい。

Chicago 川 とミシガン通りを理解していれば、そうそう迷うことはないと思われます。道がわからなくなったら、とりあえず、ミシガン通りに出るのです。道路の上で立ち止まって、地図を見ながらきょろきょろしているのは、”慣れない旅行者です。襲ってください。”と言っているようなものです。実際、道路で立ち止まって、一人でうろうろしていると、浮浪者風の男が寄ってきたりするので、びびります。道は、昼間だったら、現地の人(女性が安全でしょう)に聞いたほうが良いです。ミシガン通りにでたら、Chicago 川 をめざして歩きましょう。Chicago 川 といっても、東西に流れている部分です。Chicago 川 が南北に流れている部分は危険地帯ですので、間違えないでください。もちろん、大前提として、自分が行きたいところ、あるいは、自分が泊まっているホテルが、Chicago 川とどういう位置関係にあるのか、ミシガン大通りとどういう位置関係にあるのか把握していなければ、お話になりません。どこにいるのか全くわからなければ、大きなホテルまで行って、タクシーに乗ってしまいましょう。ミシガン通りと大きく離れたレストランなどにいくのであれば、タクシーを使うのがベストです。

帰りの shuttle バスで、ホテルの名称を聞き間違えて降りてしまった経験をお持ちの方は少なくないようです。私も、ホテル名を呼ばれたような気がして、景色が似ているので、あわてて降りたら別のホテルだった経験があります。到着したホテルの名前を運転手がコールしてくれるのですが、必ずしもわかりやすくはありませんし、全部のホテル名を言ってくれないこともあります。もうすぐだなと思っていると、全く別の方向にいってしまうことがあります。自分の泊まっているホテルの近くの大きなホテル名を把握しておき、そこで降りるのが正解です。全く間違った場所で降りてしまった場合、そのホテルにとりあえず入ってしまい、ロビーで地図を検索しましょう。初めてだとかなりあわてると思いますが、大きなホテル内のロビーは安全です。地図は持ち歩いていなければなりません。地図もないのであれば、歩いていくことはできないので、上記したように、タクシーに乗ってしまいましょう。日本と違い、近くても、タクシー運転手は、あまり文句を言わないようです。

Michigan Ave の発音はカタカナで無理矢理書くと、” エスュグヌ エ ヴヌ”です。chicago river は、”スイ ワガウ ヴル”。(大きな字は強く発音)。down town は、南北に 2.0km ほど、東西にも 2.0 km ほどの大きさと覚えておいてください。

シカゴは、古い歴史を感じさせる美しい街です。街全体が美術品とされています。私は、1 回で好きになりました。RSNA は、クリスマスシーズンに開催されるので、通りは美しく装飾されています。シカゴは、寒いこともあって、ホームレスがおらず、アメリカの中では安全な地域であるようです。夜、女性が一人で歩いてることも多いです。気をつけなければいけないのは、廃屋になったビル、工事中のビル、窓に鉄格子がはまったビルの周辺、駐車場、公園、高速道路の下、資材置き場などです。周囲に歩いてる人がいない時は、別の道を通ってください。基本的に、明るくて、周囲に人が歩いているところは大丈夫です。昼間は、なんということがない場所でも、暗くなると一気に不気味になる場所もあるので、注意が必要です。警察によれば、強盗犯は、犯行を見られたり、顔を見られるのを嫌がるそうなので、よく考えて(暗いところを避ける、周りに人が歩いているところを通る)自分を守ってください。スリも多いそうですが、別記したように、服装や鞄(服装は地味に、服やカバンのアクセサリ類はすべてはずす)に注意すれば被害にあう可能性はかなり下がります。

マグニフィセント地区は高級商店街ですがが、商品は中国製も多く (特に衣料品) 、気をつけないと、わざわざアメリカで安物を買うことになりかねません。ラベルを良く確認してください。

シカゴは、人口が約 270 万人で、黒人が 39 % 、白人が 37 % と黒人比率が高いのが特徴です。(2007 年、 シカゴ総領事館 情報)

 

シカゴ川南側の風景
ここだけは南側のほうがすっきりとしており、美しいです。

 

ホテルは早めに取りましょう。5 月中(すなわち、発表ができるかどうかわかる前)に取るのが良いです。できれば、ホテルの申し込み受付が始まったら、すぐ申し込むのが良いです。学会への参加を申し込むと、自動的にホテルも予約する仕組みになっています。参加申し込みだけして、ホテルの予約をしないと、”どこに泊まるつもりか?”と聞かれます。申し込みの時に 300 ドルのデポジットを取られますので、参加申し込みの時に、クレジットカードを用意しておきましょう。キャンセルしても、3 週間前までなら、deposit は、全額戻ってきます。家族会員もこの時に申し込みます。参加者の家族は無料です( RSNA メンバー以外の場合は不明)。家族の参加者も参加バッジがもらえます。この参加者バッジがなければ、中に入ることはできません。学会の 1 ヶ月くらい前に、バッジ、その他の解説の書類が郵送されてきます。RSNA の会員は、特別に 4 月から参加の受け付けが始まりますが、会員以外は、5 月頃に受け付けが開始されるようです。

日本人で、初心者であれば、 ホテルは、一泊で、160 ドルから 200 ドルくらいの間の値段のところが良いのではないかと思います。( 2000 年当時の値段:後記するように、同じホテルが毎年 10 ドルくらいずつ値上がりしています。)申し込みの時期を逃すと、もっと安いホテルか高いホテルしかなくなります。安いホテル は治安が悪かったり、設備が悪かったりで苦労するこ とになります。ベテランに言わせると、160 ドル以上のホテルなんて高すぎるというのですが、慣れている人には、100 ドル以下のホテルでも止めはしません。しかし、初心者には、160 ドル以下のホテルはあまりすすめません。クレームを問題なくアメリカ人相手に伝えられる英語力があれば、160 ドル以下のホテルでも可とします。2003 年の Westin River North は、210 ドルでしたが、2006 年は、240 ドルでした。あげすぎではないかなと思います。しかし、1 年に 1 〜 2 回の海外出張ですし、安全、快適、便利を考えたら、多少の出費は我慢できます。私は、海外のホテルだけは、ケチケチしないでいくことにしています。

滞在日の変更は、会期の 3 週間以上前であれば、RSNA の登録申し込みのところを変更することで受け付けてもらえます。3 週間を切っている場合には、ホテルに直接連絡する必要があります。ホテルへの連絡は、FAX が良いと思います。そして、こういう時のコツですが、よけいなこと (理由など) は、一切書かず、何日から何日に変更したい、ということだけを大きな文字で書くのが良いです。私の同僚が (絶対に私ではない) 、昔、" 申し込み日をミスした " 、とメールに書いて送ったところ、受け付けてもらえず難渋していました。"miss" という単語には、間違ったという意味があって、日本人はそれだけだと思いこんでいるのが普通なのですが、"miss" という単語には、遅れるという意味もあるのです。こちらは " 申し込み日を間違った " と書いたつもりでも、アメリカ人には、" 申し込みが遅れた " と受け取られてしまったのです。よけいなことを書くと誤解されるだけです。ドライに、変更したいことだけを誤解を受けないように書いて送ってください。その FAX 用紙を持参すると確実です。RSNA の登録申し込みのところで変更した場合は、登録確認のメールがくるので大丈夫です。なお、滞在を短く変更する場合は、何の問題もありませんが、追加・延長は難しいです。たいていすでに満杯なので、別のホテルに泊まらざるをえなくなるようです。しかも高い値段で・・・。

RSNA が斡旋していないホテルがあることに気がつきました。非常にいい場所にある Le Meridien など。しかし、RSNA を通さないで、ホテルを取らないほうが良いです。値段が極端に高くなるからです。または、治安や設備が悪いか・・・・。それに、会場の McCormick Place 行きのバスが来ない可能性があります。シカゴ市のほぼ中心部に東西に流れる大きなシカゴ川があり、この周辺に泊まるか、あるいは川の北側で、ミシガン通りにすぐでられるホテルに泊まるのが良さそうです。RSNA 関係のミーティングは、この川の付近のホテル、もしくはミシガン通りに面したホテルで行われることがほとんどです。この付近であれば、夜も安心して歩けます。Inter-continental( 川の北側でミシガン通りに面している)、Marriotto (川の北側でミシガン通りに面している) , Hyatt Regency McCormick( 学会会場と廊下で連絡しており、めちゃくちゃ便利)は、便利で良いホテルです。しかし、人気が高く、予約がすぐ埋まってしまいます。

 

 

Magnificent mile (ミシガン通りの川の北側) の夜景。
夜中の 11 時頃でも人通りがかなりあり、開いている店もあるので安心して歩けます。
11 月末は、クリスマスシーズンなので、街は美しく彩られています。

 

下の写真は、東西に走る Chicago river (ミシガン湖に注いでいます)の深い堀の縁に建っているホテル群です。右端の円形の建物は、 マリーナシティ Marina city (駐車場、マンションなどが混在した建物)なのですが、2つ同じ建物が並んでおり、遠くからでもすぐわかるので、歩いていて、場所がわからなくなったときに、大きな目安となります。Westin と表示してあるのが、2002 年、2003 年に私が泊まった Westin River North で、Sheraton と並んで、私のお気に入りのホテルのひとつです。標準よりちょっと高め( 210 ドル / 泊、2002 年)ですが、サービスが良いです。場所も便利だし。Sheraton は、同じ並びでもっと東側にあります。

 

東西に走るシカゴ川の深い堀の縁に建っているホテル群

 

高級ホテルとそれ以下との違いは、円ードルの両替ができるかどうかにあると思っています。詳しくはわからないのですが、おおむね1泊 170 ドル以上くらいのホテルでないと円ードルの両替えができないようです。空港で替えてもらうか、会場の McCormick Place で替えてもらいましょう。3% くらいが手数料で取られたような記憶があります。あるいは、高級ホテルに泊まっている友人に替えてもらうか・・・。でも、ほとんどの場合、カードが有効なので、両替の機会はそんなにはないはずです。私の場合、JCB で本が買えなかったので、泣く泣く、替えざるを得なかったというわけです。ちなみに JCB はアメリカでは通用しないことがあります。VISA か MASTER なら安心です。

最近のホテルには、Ethernet AD-SL が付属していることが多くなってきているようです。ホテルの申し込みのときに、high speed internet を使いたいと書いておくのはもちろんですが、ホテルのフロントで、” Can I use High Speed Internet?" とたずねてみましょう。2003 年に宿泊した Westin River North では、1 日使い放題 (Noon to Noon) で、10 ドルでした。ADSL なので、たいして早くはないのですが、アナログモデムの 10 倍以上のスピードがでますし、電話代がかからないので、これを使わない人は、”おろか者!”と言われても仕方ないです。古いホテルに Ethernet を張るのは難しいと思っていましたが、ADSL モデムなら、電話線が使えるのを忘れていました。この手なら、古いホテルでも、いくらでも設置できそうです。最近は、有線ではなく、無線 LAN が使えるホテルも増えているみたいです。

発表会場は、McCormick Place ですが、シカゴの市街地から見て、南南東の方向にあります。 空港 は、北西の方向になります。RSNA 専用のバスが頻繁に走っていますので、RSNA が認めたホテルである限り、会場から遠くても心配する必要はありません。バスは少なくとも 15 分に一本くらいは走っています(朝と夕方)。大きなホテルの近くに止ってくれます。昔は、RSNA の腕章をつけた係員が立って誘導してくれていたのですが、2002 年からいなくなりました。でも、停車場所は学会の標識があって、すぐわかります。午前の早い時間帯であれば、それらしい人(身ぎれいで、カバン持っているのが特徴、女性も大勢います)が並んで待っているので、まず迷いません。2002 年まで、色分けされた路線(赤、緑、黄、青、紫)が使用されていましたが、2003 年から番号別に変更になりました。色弱者への対策かもしれません。もし、荷物が多かったり、急いでいる時は、タクシーを使いましょう。バスの席は、荷物の多い人用に設計されていません。バスの入り口に、South, North, Lakeside と記載がしてあり、このバスが会場のどこに止まるのかわかるようになっています。

 

RSNA 市内ホテル 巡回バス
無料。朝は7時頃から。それ以上早く行きたい場合はタクシー。

 

2009 年のことですが、RSNA巡回バスが非常に混雑していました。新しく乗ろうとやってきた人も、あまりに大勢の参加者がバス乗り場に並んでいるので驚いていました。理由はよくわかりません。あくまで推定ですが、経済的理由でバスの本数を減らしているのではないでしょうか? 杞憂なら良いのですが・・・。早朝の発表を聞きたい場合は、早めにホテルをでるか、出費を覚悟の上でタクシーで行くしかないと思います。メトラで行く方法もありますが、メトラの駅から離れたホテルだと、面倒ですね。メトラの本数はかなり少ないし・・・

ホテルから McCormick place 会場まで、タクシーでは、近いホテルで約 8 ドル、川べりのホテルで約 10 ドルです。( 2003 年時点)。チップが 15% です。タクシーが空いているかどうかは、屋根のランプがついていることでわかるようになっています。ランプが消えていれば、客が乗っています。イエローキャブという会社のタクシーが安心みたいです。タクシーは、なるべく流しは使わず、ホテル(自分が泊まっているホテルでなくても良いのです)から乗ってください。街に買い物にでかけ、そこから学会の会場にタクシーで行った時のことです。流しのタクシーに乗ったところ、メーターを設置せず(メータを倒さない)、乗っている間中、どきどきしました。幸いにして、だいたいリーゾナブルな費用を払ったところ、納得してくれましたが・・・。(その後、見聞きしたところによると、メーターを倒すのを忘れてしまう運転手がいるそうで、メーターを倒さない運転手が全員悪質運転手というわけではないそうです。) ホテルにとまるタクシーは安心だそうです。が、正規のドアマンが、配車をしていないことがあり、こういう時は乗らないほうが安全です。私は、2003 年に、正規のドアマンがいない時間に、若い黒人が配車したタクシーに乗ったところ、メータを隠すし、タクシーの番号は消してあるしで、非常に怖い思いをしました。こっちは完全な悪質運転手です。相当怖い。” 一流ホテルから、正規のドアマンが配車したタクシーに乗る。” これが命や金を守るために大事です。この時も、幸いにしてあまり高額を要求されないで済みましたが・・。街を歩いていて、タクシーに乗る必要ができた時も、流しではなく、まずどこかの大きななホテルに歩いていってそこから乗るのです。ドアマンに、チップを払うのは形式ではありません。安心してタクシーに乗れるなら、もっと払ってもいいかなとすら思っています。正規のドアマンは、制服、制帽姿なので、すぐわかります。まともなドアマンは、不良タクシーをホテルの前に呼びません。

2005 年以降はほとんどタクシーを使っていません。さすがにシェッドの水族館は、サウスループにあるので、タクシーを使わざるをえませんでしたが、他はみんな歩いて行ってみました。こんなにシカゴの街の構造がわかったのは初めてです。夕方以降は、あまりおすすめできませんが、昼間だったら、思い切ってあちこち歩いてください。タクシーにばかり乗っていると、いつまでたってもシカゴの街は理解しにくいのでないかと、今は思います。

McCormick Place には、駐車場もあります。24 時間で 19 ドル。(2009年)

Metra という電車があります。McCormick Place 会場内に駅があって大変便利なのですが、シカゴ市内の駅が非常にわかりにくいのです。Prudential building の地下に駅があります。2006 年以前は、 Randolf street station という名称でしたが、2007 年から、Mellennium station という名称に変わっています。非常に貧弱な入り口で、初めての時は、降りていくのが怖いような印象がありました。McCormick Place の乗車口のほうは、非常にわかりやすいので、Metra を使うのが初めてでしたら、ここから乗って、シカゴ市内で降りてみることをおすすめします。シカゴ市内と McCormick Place の間は、RSNA の参加者は無料です。無料の切符が参加証と一緒に送られてきます。会場で降りないで先に行くと、シカゴ大学があります。 科学産業博物館 も、この Metra を使うのが良さそうです(もうひとつの手は、バスですが、相当わかりにくい)。南の危険地帯を通過しますが、車掌が2人乗っているので安全です。Metra の問題は、本数が少ないことです。シカゴ市内から、McCormick 会場へ行くには、バスのほうがはるかに便利です。会場からの帰りは、時間に正確な Metra のほうがいいかもしれません。所要時間は 7 分です。ただし、Metra は夕方は混むみたいです。シカゴ市内の終点の Millenium 駅と McCormick Place 駅の途中には駅がいくつかありますが、途中では降りないほうが良さそうです。昼間はともかく、夕暮れ以降は無謀だと思います。通ってみればわかりますが、とても降りてみたいという気にはなれません。

 

McCormick Place 内の Metra 乗り場の入り口。会場内にあります。

 

McCormick Place の駅は昼間から薄暗くてちょっと不気味な雰囲気です。
夜、他に人がいなかったら、相当怖いと思います。

 

シカゴ市内の Mellenium 駅の入り口(ホームは地下にあります)
アメリカ人も迷うほどわかりにくい。

 

空港とホテルの間ですが、行きは、普通 Air Express という 8 人乗りくらいの乗り合いタクシー(外観は白色です)でいきます。大型バスのほうが安いですが、いつ出発するかわかりません。ホテルごとにバスが違うらしいのですが、どれが行きたいホテルにいくバスなのかさっぱりわかりません。ホテル名が記載してあるバスもあれば、何も記載していないバスもあります。下の写真で右側に見える Air Express (白い外装の中型のワゴン)でいったほうが早そうです。Air Express は、ホテルの名前を言えば、そこまで行ってくれます。似たようなホテル名で、別の場所にもあるホテルがあるので、注意してください。Hyatt Regency Chicago と Hyatt Regency McCormick など。Hyatt は、3 カ所あるようです。Chicago は川の縁、McCormick は学会会場の McCormick place のすぐ近くです。これを間違えると思わぬところへ行ってしまうことになります。紙に書いたほうが安全かもしれません。(日本人の英語のひどさを)わかっている AirExpress の運転手は、”行き先を紙に書いてくれ”と言います。RSNA からの Registration の中に、空港ー市内の Air Express の 10% の割引券がついています。2007 年は、AirExpress の正規料金は 20 ドルで、2 ドル割引で、18 ドルでした。バスには一回乗ったことがあるのですが、値段忘れました。タクシーよりは安かったと思います。

帰国時は、荷物が多いし、Air Express は、始まる時間が遅いので(朝の 10 時)、普通のタクシーを使うしかありません。最初に、AirPortExpress の切符を買う時に、片道 (One way) にするか、往復 (RoundTrip) にするか聞かれますが、片道を選んでください。帰りは、上記したように AirPortExpress を使っていたのでは、飛行機の離陸時間に間に合いません。空港に遅れてしまうと大変なことになるので、出発時刻の 3 時間前には、ホテルや会場を出たほうが良いのではないかと思います。慣れた人はぎりぎりで出ますが、途中は高速道路を長い距離使うので、交通事故で渋滞でも起きたりしたら、一巻の終わりです。出国手続きは、当分の間、かなり時間がかかることが予想されますので、もっと早くても良いかもしれません。タクシーは、市内から飛行場まで、おおむね 40 ドル前後です(料金 35 ドル、チップ 5 ドル: 2005 年)。空港からシカゴ市内へは、だいたい 30~40 分くらいではないかと思います。

白タク(もぐり)のタクシーがいて、安くしておくから乗らないかと誘ってきます。私は、安いほうがいいんじゃないかと、2001 年に、うっかり乗ってしまいましたが、危険なので止めましょう。正規のタクシーは、運転中はラジオを流さない、携帯を使わないという規則ですが、もぐりのタクシーの運転手は、運転している間、携帯電話を使いっぱなしで、ずっと緊張を強いられました。片手運転だし、時々、よそ見をするのです。航空機テロより、はるかに危険だと思いました。ただし、その後、正規のタクシーが携帯電話使いながら運転するのを経験したので、困ったものだと思っています。

空港から市内へは、 ブルーライン (Blue Line) という高架鉄道(通称 "L") が走っています。ガイドブックには、乗る時の注意事項がいろいろ載っていますが、あまりおすすめできません。怖い思いをした体験談も載っています。安いことだけが取り柄です。アメリカ人にとっても危険性のある線だそうで、ホームには、緊急通報用のボタンが設置されています。あえて乗るのであれば、一人だけでは乗らないことが絶対必要です。Metra や市内バスは、走る地域により(西と南方向)、運転手や車掌に、屈強な男性を割り振ってあり、そういう人の近くに座ることで安全が保たれるとされています。"L" は、そういうことができません。

下記の写真は、空港ビルから出たすぐのところです。かなり殺風景です。覚悟しておけば大丈夫ですが、しびれるような寒さに驚かされます。私は、いつも、空港ビルを出る時に、厚いコートを出して着ることにしています。2006 年は、非常に暖かで、摂氏 14 度もあって、厚いコートは必要ありませんでした。例年は氷点下です。

 

オヘア空港出口の風景。バスか乗り合いタクシーで市内へ向かいます。
高架鉄道”L”で行く人もいますが、慣れるまではやめておいたほうが無難。
"L" は、階段を登り降りする必要があるので、荷物が大きい場合はやめておきましょう。

 

 

シカゴでのショッピングや食事

24 時間営業の ドラッグストアがシカゴの街の何箇所かに あります。"Walgreen" という系列店が便利なところにあります。歯ブラシや髭剃りもあります。雑貨類はたいてい揃います。使い捨てカメラもありますが、会場は暗いので、絵になりません。私は 2000 年は、これで大失敗してしまいました。帰って現像してみたら、真っ黒で何もわかりませんでした。デジカメもしくは、普通のカメラでないと無理です。私の同僚が下着を見つけるのが大変だったと言っていましたが、あちこちにあるドラッグストアでは扱っていません。ようやく見つけた店は (どこで買ったのか聞き忘れました) 、やけに親切で、下着を着てみてサイズが合わなかったら交換してくれると言われたそうです。日本人は小さいですから、彼らとしては心配なのでしょう。日本とは、24 時間ショップで売っているものが結構違います。ドラッグストアでは、衣類、野菜、果物などは売っていません。食べるものは、菓子類が多い印象です。サンドイッチもありますが、正直まずいです。その代わり、薬は売っています。といっても、買ったことがないので、どういう薬が手に入るのか、処方箋がいるのか、といったことはわかりません。アメリカ人の店員は親切です。高い電池を買おうとすると、" こっちのほうが安いから、こっちにしておけ " などと、教えてくれます。こちらは、訳あって (シカゴは寒いので、デジカメの電池がすぐ切れてしまう) 、高い電池を買いたいわけですが、むげにも断れず、安い電池を買うことになります。

ドラッグストアに売っていないもので困るのが生鮮食品です。大きな生鮮食品の店を見つけました。Whole Foods という店です。マグニフィセント地区にあります。かなり大きな店です。果物や野菜などを扱っていますが、その他の食品もあります。パンや肉類、調理品などもそろっていて、ここで買って、並べてあるテーブルで食事を済ませることもできます。なんと,寿司のパックもありました。味は,ちゃんとした日本の寿司でした。全般的に,値段は Walgreen などに比べると高めです。高級スーパーといったところでしょうか。ミシガン大通りから西に少し入ったところにあります。E.Huron 街に面しています。入り口は小さいですが、日本のヨーカ堂くらいの規模があります。新鮮な食品がほしくなったら是非行ってみましょう。ミシガン通りから、4 ブロックほど脇道に入っているので、女性だったら夜はちょっと怖いかも。ところで、ドラッグストアに売っていないものをもうひとつ気がつきました。それはナイフです。リンゴを Whole Foods で買ったところまでは良かったのですが、ナイフがなかなか手に入りません。ワルグリーンには売っていません。結局、総合デパートの Macy の 8 階の調理器具売り場で買いました (特売していたので、10 ドルで買えました) 。安くない (最低で 13 ドル、高いのは 85 ドル) ので、トランクに入れて持ってきたほうが良いのではないかと思います。なお、航空機の手荷物には、ナイフは入れられません。

 

Whole Foods (生鮮食品の店)

内部の写真撮ってたら、店員に怒られました。

 

パン、七面鳥(無抗生物質)、果物、バナナ(無農薬)、スープ、ポテトサラダ等二人分で、34 ドルでした。
実際食べてみると、七面鳥は、まあまあでした。

 

 

マグニフィセント地区に大きな Apple の Shop があります。透明な硬質アクリル製の階段で 2 階にあがれるようになっており、非常におしゃれな印象です。店員は赤い制服を着ています。お客はかなり多く、アメリカでの Mac の人気の大きさを思わせます。シカゴ市内には、他に、大きな コンピュータショップ もあります ( Windows, Apple, PDA 類など、全部扱っています)。といっても、秋葉の ヨドバシ のワンフロアより小さいです。秋葉みたいな巨大なショップはないみたいです。コンピュータ好きの外国人が秋葉にあこがれるのがわかります。部品類( AC アダプターなど)が、必要になった時は、ホテルのクラークに聞くと教えてくれます。もし、アメリカに持っていったパソコンが壊れたらどうするか? 私なら、アメリカで新しいパソコンを購入します。 Mac にしても Windows にしても、アメリカで購入しても日本語化は容易です。パソコンがなければ、学会参加を充実したものにするのは無理です。

大きな本屋は郊外にしかありません。マグニフィセントマイルズには、 ボーダーズ という本屋があったのですが、2011年7月に倒産してしまいました。ご存知のとおり、アメリカでは、kindleで本を読むことが普通になってきており、実店舗の本屋の存在が難しくなってきているようです。少し南側のヴァージン・メガストアでも本を売っていますが、こちらは CD 、DVD がメインです。ヴァージンには、漫画(文字は英語)も置いてありました。下の写真は、ボーダーズブックス&ミュージックストアです。書籍は 1 階と地階で扱っています。Water Tower のすぐ北側です。ボーダーズは日曜以外は 23 時まで、ヴァージン・メガストアは、金、土曜日は 24 時まで開いています。この時間でも、ミシガン通りの北側の人通りはかなり多く、歩くのに全く問題ありません。危険を感じたことは一度もありません。どこのホテルに泊っているかが問題だと思います。こういうことを考えると、やはり北側のミシガン通りに面したホテルに泊るのが、ベターではないかと思います。

 

市内でもっとも大きな本屋だったボーダーズ(2011年7月倒産)

 

ジョンハンコックセンタービルにあるパソコンショップ "Best Buy"
シカゴ市内ではもっとも大きいと思います。パソコン用の部品は揃うと思います。
他にも小さなパソコンショップがループ地区にあります。
アップル製品はもっと南側の Apple Shop で購入します。

 

下の写真は、お気に入りの ステーキ屋 です。川の北側にあります。予約はいらないし、気の向いた時に入れます。下記の店には、これで 2001 年、2002 年と連続で入ったことになります。ヴォリュームがとても多いので、注意が必要です。食べてから足りなかったら、追加注文したほうが良いと思います。サラダは洗面器いっぱいくらいの量がきます。一般的に、アメリカで普通に食事を頼むと、サラダは付いてきます。明かに付いてこなかった時だけ頼むようにしたほうが良いです。周りを見回すと、アメリカ人も、あまりの大量の野菜に、食べ切れずに残しているのがわかります。デザートのアイスクリームも化け物みたいな大きさです。小さいのを頼みましょう。

シカゴは、”蛎”で有名です。他に、ロブスターやステーキも有名ですが、ステーキは別にシカゴでなくても食べられるので、是非、蛎とロブスターを食べましょう。食べたために肝炎になったり、食中毒になったりしても、私は責任取れませんけど・・・。少なくとも、私は今までは大丈夫です。下の写真の店は、川のすぐ縁にある 有名な店 Show's crab house です。Sheraton と Westin River North の中間くらいにあります。周囲は、ちょっと寂しい雰囲気なので、一人ではいかないほうが良いでしょう。店は混んでいますので、30 分は待たされると思ってください。土日は避けたほうがいいのではないかと思っています。平日の夕方、開店直後の時間 (5 時半開店) に行ったところ、全然待たずに席が取れたことがあります。電話での予約は受け付けてくれません。店内で待つ必要があります。でも、それだけのことはあります。ジャズバンドの演奏も聴けます。日本語の案内書には、必ず紹介されている店なのですが、あまり日本人を見かけません。みなさん、夜はどうされているんでしょうか。

蛎は、1 dozen(12 個) で、29 ドルでした (2007 年) 。生ガキは、よほど新鮮でないと生臭くて食べられませんが、この店の蛎は非常に新鮮でうまいです。メニューのリストは Oyster(蛎) と Schrimp (蝦) がメインで、そんなにいろいろあるわけではありませんが、2007 年に行ったところ、寿司が、メニューに載っていました。寿司は健康食として人気があるみたいです。高いので私は食べませんでした。いくらなんでも日本で食べるよりおいしいということはないでしょう、たぶん・・・。

Show's crab house

 

 

下の写真は、ステーキハウスの Lawry です。日本にも支店がある高級なステーキ屋ですが、日本の半額くらいで食べることができます。アメリカの牛肉を食べて大丈夫なのか、という意見もあるでしょうが、日本の週刊誌 aera の 2005 年 12 月 26 日号で特集されていますが、アメリカの牛肉の扱いは、合理的かつ厳密なのです。日本の牛肉の扱いは非合理的で、まるで信用できません。たとえば、日本では、処理の時に頭蓋骨に穴をあけるのですが、この時に、脳が破壊されて飛び散ることがあります。また、ピッシング(脊髄破壊)も日本だけで行われており、これも中枢神経が飛び散るので欧米では危険とされている方法です。日本は食肉処理の後進国であることをつくづく感じさせます。日本の対策はいい加減かつ不合理なのです。

Lawry は、日本からでも、現地からでも、 インターネットを使って予約 ができます。混んでいるので、予約は絶対必要です。予約はかなり大変と聞いていたのですが、2006 年は、シカゴでホテルからインターネットで前日に頼んだところ、無事予約が取れました。ネクタイは必要ないようですが、ジーンズは不可です。学会最終日の前日は、日本人だらけでした。肉の量が日本人にはかなり多いので、一番小さなサイズのオーダーをお勧めします。中くらいのサイズの肉を頼んだら、まず残すことになるでしょう。予約の証拠は、iPhone に、ACT print しておけば、紙に印刷する必要がありません。もちろん、 iPad でもいいです。この文章の意味がわからない人は、世の中から遅れています。

ステーキハウス Lawry

 

Lawry 名物 English Cut 。もうひとつおすすめは Lawry Cut( 骨付きリブ)
Lawry のステーキの特徴は、恐ろしいほど柔らかいことです。

 

冷やし Schrimp かなりうまい。おすすめ。

 

下の写真は、ハンコックビルからの夕景です。96 階にレストランがあります。世界一、高いところにあるレストランです。Signature Room という名称です。日本から インターネットを使って予約 ができます。混んでいるので予約は必須です。Lawry と同様、iPhone もしくは iPad に予約を ACT print しておきましょう。今は、もう予約を紙に印刷する時代ではないです。そもそも現地で予約を取ったら、紙に印刷するのは非常に困難ですし。日本を出る直前に、日曜日の夜を予約しましたが、空いていました。できることなら、日本で予約を取っておいて、その承諾の紙を印刷して持っていったほうがいいです。Lawry の時は、紙を見せてくれとは言われませんでしたが、Signature room では、予約の紙を見せてくれと言われました。ネクタイはしていったほうが無難だと思います。ジーンズは不可です。シュリンプとステーキの組み合わせを食べましたが、おおむね 2 人で 200 ドルほど。毎日こんなところで食べていては破産してしまいますが、学会中 1 度くらい食事に行ってもいいのではないでしょうか。初めての訪問かどうか店から尋ねられます。"yes" と答えると、窓際の席を設けてくれます。これは、初回利用者だけのサービスだそうです。私が初回利用した時は、残念ながら天気が悪く、せっかくの窓際の席でしたが、外はほとんど見えませんでした。

ハンコックビルからの夕景

アメリカでアイスクリームを頼むと、とにかく大きいので日本人は驚いてしまいます。比較するものがないのでわかりにくいですが、どんぶりの 2/3 くらいの大きさがあります。もうすでにデザートの段階なので、とても食べ切れません。従業員は、お客が驚くのを見て楽しんでいるようです。たぶん、アメリカ人にとっても、大きすぎるのだと思っています。ドラッグストアで、ハーゲンダッツのボックスタイプを安く売っているので、それをみんなで分けて食べるのも手だと思います。そのほうが安いし、自分の好きな分だけ食べられる。実際、私は、Lawry でステーキを食べた後、そうしたのですが・・・。

ジョンハンコックセンタービル 96 階のレストラン Signature Room のデザートのアイスクリーム。

一般的に、チップの額ですが、だいたい、費用 (Tax を除く) の 15 % くらいが相場のようです。ドアマンには、1 ドルで良いみたいです。他の場所にも書きましたが、高級レストランは 20 % がチップの最低額です。どんなものでも(タクシー料金でも)料金を払うときに、何も言わないと、おつりに当たる額はチップとして取られてしまいます(買い物した時のレジでの支払いは何も言わなくてもおつりはくれます。要するにサービス料が発生するものは、という意味です)。例えば、23 ドルの食事をして、チップが 4 ドルであれば、30 ドルを渡して、” Three dollars Back !" と言ってください。3 ドルが戻ってくるはずです。発音が悪くて、お金が戻ってこなくても、責任取れませんけど・・・・。 アメリカでは、給仕係がテーブルごとに決まっていて、会計もテーブルごとに行います。チップは担当の給仕係がもらうようになっています。 レジで支払う方式のところもあります。このときは、チップは別に払うことになります。あるいは、チップは、店がすべて取るところもあります。カード決済の場合、チップは現金で払う必要はなく、サインする紙の中にチップの金額を記入してください。

  * レストランの味について一言

何回も行っているとレストランの味が気になります。上記したレストランでは問題は感じませんでしたが、ここに紹介していないレストランにもいくつか行っています。問題を感じる場合、だいたいしょっぱいことが多いです。ほとんど食べられずに残したこともあります。また、量が日本人にはたいてい多すぎるので、頼みすぎないことです。レストランでは、次々に、”注文は?”と聞いてきますが、No thank you. で問題ありません。ワインなんかも頼みたくなりますが、普段飲んでいないのならば、手を出さないほうが無難です。結構高いです。普段飲んでなければ、味なんかわかるわけがないし・・・。

一流レストランで、食事がうまく注文できれば、一人前ではないかとつくづく思います。私は、正直そのレベルに達していません。そもそも、初めていったレストランで、メニューの文字を見て、内容が想像できるはずもないとは思うのですが・・・。ただし、上記したレストランは、日本人に慣れているせいか、変な押しつけもなく、気持ち良く食事ができます。もし、レストラン恐怖症になったら(可能性は低くないです)、上記の Whole Foods で、食事を買いそろえて、ホテルの部屋で食事をしましょう。最後の手段は、マクドナルドとかワルグリーンということになってしまいます。マクドナルドだって、きちんと注文するのは結構やっかいですが。

  * 食事を安く済ませるには

市内で、食事を安く済ませるのは、意外にむずかしいです。レストランと言えるような店で食べると、1 食で 20 ドルは超えてしまいます。ファーストフードの店が、マグニフィセントマイル地区にはあまりありません。サンドイッチ屋みたいなものは結構ありますが、夜食がこれでは寂しいです。マクドナルドは、マグニフィセントマイルの西側 600 メートルほどのところに 1軒 あります。住所は、600 N CLARK, CHICAGO, IL 60610-3702 です。他にもありますが、Loop 地区にあるのであまり行きやすくはないです。実は、シカゴはマクドナルドの発祥の地で、第一号店がシカゴ郊外にあります。Magnificent 地区にあるのは、50 周年記念店といって、かなり大きいし、きれいではあるのですが、周囲は寂しい雰囲気です。夜は、女性一人では歩きたくないところです。私が平日の午前中に行った時は、がらがらで経営が心配するくらいの状態でした。アメリカ人の人気はどうなんでしょうか? 食事は学会会場のファーストフードレストランで済ませれば、安くは済みますが、夕食も、ファーストフードでは、体がもたないのではないでしょうか。

最大の問題は、朝食のような気がします。探せばなんとかなる夕食と違って、朝は忙しいので、探している暇がありません。ホテルの朝食は高いし・・。とりあえず、学会会場で食べるしかないかな、と思っています。解決策があれば教えていただきたいです。もっとも、日本でも朝食を安く、早く食べようとすると結構面倒ですが。

 

シカゴ川北側にある少ないマクドナルドのひとつ

 

下の写真はミシガン通りの橋から偶然みつけたマクドナルドです。私は実際に行ってみたわけではないです。行ってみようと思ったのですが、行き方がよくわかりませんでした。マグニフィセント地区でミシガン通りの橋の近くにあるので、便利そうです。Googleのstreet viewで見ても行き方がよくわからないです。地図には載っているので、存在するのは間違いないようですが・・。

 

またマクドナルドかと言われそうですが、日本と味は同じだし、内容も似たようなもので、安心感があります。一食10ドル以下で抑えられるし・・・。自分で安いレストランを開拓するのも大事かもしれませんが、探し回って見あたらなかったら、マクドナルドにしましょう。しょうがないでしょう。どうしてもマクドナルドが嫌ということでなければ、いざというときのために、自分のホテル近傍のマクドナルドについて調べておくのは大事です。Walgreenのサンドイッチは一回食べたら、二度と食べたくなくなります。保証します。エネルギーの補給はできるかもしれませんが・・・。地図を見ると、結構な数があるのがわかりますが、ほとんどがループ地区です。これでは夜は行きにくい・・・・。

地図は、マクドナルド シカゴ

スターバックスが結構あるのですが、コーヒーの他にはお菓子しかないので、食事代わりになりません。ダンキンドーナッツをマグニフィセントマイル地区で見つけました。パン、サンドイッチ、スープなどがあり、6 ドルほどで食事を済ませられます。24 時間営業というのがうれしい。ミシガン通りのエディバウワーの店のすぐ近くです。100 メートルほど、西側に入っています。味は問題ありません。黒人が多いですが、白人の家族連れも多く、治安には問題を感じませんでした。今までは、安くすませようと思った時は、ケンブリッジハウス という比較的安く食べられるレストランがマグニフィセントマイルにあったのですが、2006 年に行ってみたら、工事中になっていました。

 

 

自分で開拓する必要はありますが、マグニフィセント通りにいくつかあるショッピングセンター内にもファーストフード店はかなりあります。ショッピングセンターがオープンしていない時間帯でないとたぶん、店もあいていないであろうことが欠点です。朝とか夜遅くはたぶん無理なんじゃないかと思います。

後は、寂しいですが、ワルグリーンで、サンドイッチなどを購入することでしょうか。しかし、日本人の舌にはあまり合わないようです。正直、まずい、しょっぱい。種類もごくわずかです。あまりにわびしいので、おすすめできません。前記した Whole Foods は、夜十時までやっていますが、私は、2006 年はここばかり行ったので、正直飽きました。Whole Foods の寿司は、見た目も味も日本の寿司ですが、結構高いです。握りのパック 1 人前で、13 ドルほど。 食べ物屋、レストランの開拓は楽しいものではありますが、そんなに選択肢は多くない印象です。

McCormick Place 内のマクドナルド
いつもいっぱいで人が並んでいます。


"Friday" など、ファミリーレストランに相当する店がいくつかあります。中は薄暗く、日本のファミリーレストランとかなり雰囲気が違います。入る時はちょっと躊躇するかもしれませんが、別に危険なわけではないです。ファミレスの場合、どうしても 20 ドルは超えてしまいます。飲み物を water にすれば 10 ドル前後で食べられます。

 * ファーストフードでの頼み方

店員の英語はわかりにくいです。店員は、アングロサクソン系ではないことが大部分です。崩して発音するので、相当わかりにくいです。

注文が終わったら、"That's all." (注文は、これで終わり)
お店で食べる場合は "For here." 持ち帰りの場合は "To go." と言います。日本で良く使う "Take Out" (お持ち帰り)は通用しません。
この 3 つの英語だけは覚えておいてください。そうでないと注文が完了しません。聞き返すと、店員が露骨に馬鹿にします。ところで、ウイーンのマクドナルドで、店員から、"Take out?" と聞かれてびっくりしました。こちらが日本人だと思って、そう聞いたとはとても思えません。 しかし、アメリカでは、"take out" は、全く通じません。

"Coffee" と頼んで、きちんとコーヒーが出てきたら、あなたの英語の発音は 1 人前です。たいていは、コーラが出てくるか、水がでてきます。カタカナ英語で、”コーヒー”と発音したら、アメリカ人の native には、”オーイ”としか聞こえないのだそうです。”オー”に一番近いのは、"water" です。"c" の音をがんばって発音しても、"f" が駄目なので、コーラ coke がでてくることになります。 "c" と "f" の音声が弱すぎるのです。ちょっと弱いなどというレベルではなく、本来必要な音量の 1/10 ほどしか出ていないとされています。これでは、アメリカ人がいくら聞き返してくれたって聞き取れるわけがありません。もっと言えば、coffee の "o" と cola の "o" は、違います。coffee のほうは、どちらかと言うと、”ア”に近い音、cola のほうは、日本語の " オ”に近い音で、それも、誤解される大きな理由になっています。一つの手は、"Coffee with milk." と頼むことです。彼らはサービス精神旺盛なので、水にミルクは変だ、コーラにミルクは変だぞ、というわけで、もしかしたら coffee かもしれないと考えてくれるのだそうです。 これはアメリカで働く日本のメーカーの人が、日本から来たばかりの人に勧める言葉だそうです。他にも、"vanilla" は、"banana" になってしまうし、発音を全然注意してくれなかった日本の英語教育を恨みたくなります。日本に長くいる native の英語教師は、このあたりの状況に慣れているので(矯正をあきらめちゃっていることが多いですが)、日本人が、”コーヒー”とローマ字英語でしゃべっても、coffee であると、わかってくれるそうです。英会話学校にいくのは無駄だというのがよくわかる話ではあります。日本の英会話学校の英語は、アメリカでは通用しないということです。

ちなみに、トイレ(便所)は , lavatory あるいは rest room です。bathroom という表現もありますが、これは個人の家庭においては、浴室とトイレが一緒になっていることがほとんどなのでそう言うのであって、公衆のトイレとは別です。 正式には、公衆トイレは、 public lavatory と言います。日本人には、"lavatory" を使うことをおすすめしたい。なぜなら、"rest" の場合、最初の "r" の発音が伝わらない可能性があるからです。 もっとも、次の "v" が伝わるかどうか心配ですが・・・。 "toilet" でも通用するかもしれません。

 

 

観光

クリスマスシーズンだけあって、シカゴの街並みは、非常にきれいです。ゴミなども非常に少ない印象です。街全体が美術品であり、美しく彫刻された建物が並んでいるのに感動します。摩天楼が多いのもシカゴの特徴です。ことさら観光名所などに行かなくても良いのかもしれません。学会のほうも相当忙しいので、シカゴの街を堪能する時間は、あまりないでしょう。早朝の街を歩くのは、非常に感動的です。見どころとしては、国際外科医学博物館、 シアーズタワー (全米1位,世界2位)、 シカゴ美術館 (メトロポリタン、ボストン美術館と並ぶ3大美術館のひとつ)、 シカゴ現代美術館 、グラントパーク公園(ループエリア)、ウオータータワー(リバーノース)、 シェッド水族館(夕刻以降は不可) アドラー天文台 (夕刻以降は不可) 科学産業博物館(夕刻以降不可) シカゴ大学 campus(夕刻以降不可) 、Navy Pierハロルドワシントン図書館(世界最大級の図書館、無料無線LANスポットもある: 夕方以降は不可)、チャイナタウン(夕方以降は絶対不可)、オークパーク(夕刻以降は不可)といったところでしょうか。

シアーズタワーは、ループ地区にあるので、夜行くのはおすすめできません。遅くとも 5 時前には、ビルから出ることをおすすめします。中に入ったら、一度地下に降りて、料金を払い、シアーズタワーの歴史の映画を見ます。それが見終わってから、上に上っていきます。日本語の有料の解説があります。食事できるところは見あたりませんでした。

高さではわずかにシアーズタワーに劣りますが、 ジョン・ハンコックセンタービル はミシガン湖畔にあり、美しい景色で人気があります。マグニフィセントマイルにあるので、夜でも安心して周囲を歩けます。前記しましたが、96階に、Signature Room というもっとも高い場所にあるレストランがあります。

科学産業博物館(実物の U ボートの展示は、是非おすすめ)は遠いので、あまり強くはおすすめしません。1 日がつぶれてしまいます。

シカゴは、ジャズの本場でもあり、聴きに行きたいと思われる方もいるでしょうが、誰かに連れて行ってもらわないと、ちょっと厳しいのではないかと思います。私は連れて行ってもらったことしかありません。有名なスポットだったようですが、自分が先にたって誰かを連れて行く勇気はありません。ガイドブックには、一人でジャズを聴きにいってはいけないと記載されています。女連れはさらに危険です。人質を取られたようなもので、絶対にやめておきましょう。いざとなったら、女性を置いて逃げるような人だったら、大丈夫かもしれません。

他、アメリカンフットボールの試合見学、野球の見学、シカゴ交響楽団の演奏なども、タイミング次第で可能かもしれません。湖遊覧は非常に美しいようですが、12 月は寒いので、お休みです。替わりに、Shedd 水族館から Adler 天文台への道を歩いてみることをおすすめします。

私は 4 年目にして初めて、シカゴ美術館を見に行きました。初めて RSNA に 参加する放医研のドクターに、”え? 行ったことないの”と言われて、思わず赤面しました。しかし、もう 10 何回も参加している別のドクターに、”恥ずかしながら、4 年目にして、初めてシカゴ美術館に行ったよ”と話したところ、”私は、ずっと会場にいるので、一度も観光に出たことがないです。”という返答をもらい、もう一度赤面することになりました。何のために、アメリカまでいく費用を払い、危険をおかしていったのか、よく考えたほうが良さそうです。

シカゴ美術館は、しかし、見にいくだけの価値があるところではあります。大きくわけると、1 階が装飾品、2階が絵画です。膨大な美術品が所狭しと並べられており、当初、どんな基準で並べているんだと、困惑しましたが、見ていくうちに、なんとなくわかってきます。半日ではとうていまわりきれません。半日を見学にあてて、午後は学会の会場に行くつもりだったのですが、結局回るのに 1 日かかってしまいました。学会の始まる前の日か、あるいは面白そうな発表のない日の午前か午後あたりを選んでいくのが良いのではないかと思いました。半日で回るのはきついですが、幸いにして、学会会場がシカゴにほぼ固定されているので、1 年で全部みなくても、翌年見ることもできますし・・・。毎年行ってみるというのが正解かもしれません。新しい発見があるはずです。

 

シカゴ美術館

 

2003 年は、印象派の創始者のマネの特集がされていました。火曜日は美術館の無料公開日なのですが、特集部分だけは有料です。一人 12 ドルでした。マネは、ご存知のとおり、印象派の走りの巨匠ですが、印象画を始める前の時期の作品について、展示がされていました。”海のシリーズ”と題されていて、海を題材にした絵が大量に展示されていました。マネの膨大な作品の他に、同時代の別の画家の作品が織り込まれていて、違いがわかるようになっています。私はモネ(マネの 8 歳年下の印象派)の作品が好きなのですが(音楽で言えば、モーツアルトに該当する、不思議な明るさを持っています。)、そのモネやルノアールも並べられていて、違いがよくわかります。マネは重厚です。暗い絵が多い印象ですが、明るい絵もあります。しかし、モネやルノワールに比べると、全体としては重いです。比べると、モネは明るい、ルノワールは軽い、という印象です。もちろん、それだけで割り切れるような画家たちではありませんが・・。そんなことも、こういうふうに膨大な量の絵が並んでいて、比較できるからわかるのです。

シカゴ美術館の地下にレストランがあり、食事が可能です。昼食なのに、ほぼフルコースに近い食事をとってしまいました。味は良かったです。値段は、ホテルなどに比べれば安く、納得いく値段でした。他にも、食事が取れるところがあるのかどうか知りませんが、このレストランは雰囲気も良く、おすすめできます。

美術館の入館時に、カバンやコートをあずける必要があります。それぞれ、費用は 1 ドルでした。カバンを持って入ろうとしたら、入り口で止められたので、盗難予防のためなのだろうと思います。

下の写真は、国際外科医学博物館の入り口です。建物は意外に小さいですが、中身はかなり充実しています。日本人は、超音波関連技術の開発に貢献したとして、何人かの業績が展示されていました。じっくり見ようと思えば 1,2 時間ではとても足りません。場所は、リンカーンパーク近くにあり、ちょっと距離がありますが、歩いていくことは可能です。住宅街を通っていくので、夜はあまり気持ち良くないかもしれませんが、どのみち 4 時までしか開館していないので、問題ありません。湖 (ミシガン湖) の横を歩いていくのはとても気持ちが良いです。医学関連の方には是非おすすめします。医学が道具の開発を伴って発展してきたのが良くわかります。

 

国際外科医学博物館

周囲は閑静な住宅街。遠くに、マグニフィセントの繁華街が見えます。

 

下の写真は、世界最大の室内水族館の Shedd Aquarium です。中では小型ながら鯨も泳いでいました。圧巻は、イルカが泳ぎ回る巨大水槽です。地下で、この水槽の底のほうを見ることができるのです。イルカが数匹競泳しているのは、すごい迫力です。水族館は巨大ですが、半日あればなんとか全体を見て回れます。学会前日、時差調整の目的で昼間起きているために、この水族館もしくは、Chicago 美術館に行くことをおすすめしたいです。睡眠不十分でつらいかもしれませんが・・・。下側の写真は、鯨です。手前に潮吹き穴が見えます。体長は 3 mくらいしかありません。なんという種類の鯨だったか忘れました。

 

Shed Aquarium

 

小型クジラとイルカの巨大水槽がみものです。

Shedd 水族館の隣に世界最大のプラネタリウムの Adler があります。内容は、子供向けの印象ですが、Shedd と Adler の間の道は是非通ることをおすすめしたいです。シカゴ市がまるで海に浮かぶ都市のように見え、非常に美しい景色です。他に、こんなに美しい都市があるのかと思えるほどです。ただし、しつこくてすいませんが、薄暗くなると雰囲気が一変しますので、暗くなる前に引き上げてください。薄暗くなってくる時刻にはタクシーもほとんど来なくなります。


 

Around Adler planetarium. Best beautifull spot in Chicago.

 

もし余裕があれば、 シカゴ大学 の Campus にも行ってみましょう。Metra で行けます。McCormick Place で降りないで、そのまま乗っていきます。55-56-57 街駅で降ります。本当に静かで、アカデミズムというのは、こういうところで培われるのかと感動しました。下の写真は、Metra の駅から見た Chicago 大学の入り口です。駅の周囲には、古本屋とか床屋くらいしかありません。日本の鉄道駅の周辺でこういう風景を見たことがありません。古本屋を見た時、絶版になっている医学書がほしかったのを思い出しましたが、残念ながら探す時間がありませんでした。

Metra に乗るときは 、車掌がいる近くに座るのが好ましいです。McCormick までならそんな心配は必要ありませんが、シカゴ大学までは、危険とされているサウスループ地区を通っていくからです。Chicago 大学付近は、安全とされています。

シカゴ大学駅(正確には、55-56-57 街駅)の近くにはレストランや売店などはほとんどないので、注意が必要です。実は、駅の近くでようやく見つけたレストランで食べたのですが、あまりのまずさに閉口しました。シカゴの街に戻って食べたほうが良さそうです。

 

ちょっと足を伸ばして、アメリカ人に人気の 科学産業博物館 にも行ってみましょう。Chacago 大学の campus の線路をはさんで反対側にあります。内容は、どちらかというと子供向けの印象ですが、アメリカ人にも人気の旧ドイツの U ボート が展示してあります。これは確かにすごい。精巧としかいいようのない技術力に感心します。こういう精巧な技術力は、ドイツの足下にも及ばないのをアメリカ人たちは知っているのです。日本人の作る精巧さとも違っているようです。人間を拒否するような、切れ味の鋭い、すごみのある精巧さというか・・・。たぶん、最新のアポロ宇宙船ですら、ここまでの精巧さはないのではないかと思います。アメリカ人は、これを見て何を考えるのでしょうか。

 

科学産業博物館近くで見かけたリス
何匹もいて、人間を恐れません。いじめる人がいないからだと思います。

 


チャイナタウンは、最近アメリカ人に人気のスポットです。McCormick Place からは、かなり近く、タクシーで 5 分くらいの距離にあります。買い物も興味深いものがありますが、食事がメインとなると思います。夜行くのは推奨されていないので、昼間に行くことになります。レストランに入ると、" ランチにしますか ?" と聞かれるので、" 飲茶 "(やむちゃ) と言ってください。日本語で、" ヤムチャ " と発音すれば通じます。ガイドブックに書かれているほど安くはありませんでしたが、食事のおいしさには満足できました。夕方以降に行くことはおすすめできません。周辺はかなり物騒です。タクシーもあまり来ないので、夕暮れ以降は帰る時に困ることになります。絶対的に安全とされている地帯ではないので、行く前に、インターネットで安全情報を確認してください。学会の昼休みにみんなでさっとタクシーででかけて、飲茶を食べ、午後からまた学会に参加するというパターンがおすすめです。実際、RSNA 参加証をぶるさげて食事している方を見かけました。

 

China Town 入り口

 

入り口近くにある有名なレストラン Three Happiness
昼は飲茶が食べられます。(午後 4 時まで) 夜は普通の中華料理屋となります。

 

 

オークパークは、ダウンタウンの西約 19 Kmに位置する街です。古い街で、作家のヘミングウエイと建築家のフランク・ロイド・ライトが生まれた街です。オークパークにはヘミングウエイ博物館とライトが建築した家がたくさん残っています。ライトは、日本の旧帝国ホテルの建築設計をした方です。オークパークにも多くの家を建てています。100年以上経過した家もありますが、現実に人が住んでおり、実際に使われています。外から見る限り、100 年も経過しているとは思えないくらいきれいです。オークパーク観光案内所では、日本語の案内 PDA を貸し出してくれるので、これで説明を聞きながら、たくさんの家を回っていきます。 PDA を借りるのに、クレジットカードを預ける必要があるのが不安でしたが、後で問題を起こしたわけではありません。ダウンタウンからは、"L" のグリーンラインの Harlem 行きに乗って、Oak Park で降ります。古い住宅街で、夜は真っ暗になりますから、夕暮れ以降には行かないことをお勧めします。 4 時までには帰りの電車に乗りましょう。食事をするところはありますが、ファーストフード店が人が入っていて安心です。日本食レストランもありましたが、誰も入っていないので、怖くては入れませんでした。電車は平日の昼間は全然人が乗っていません。あまりに少ないので、これまた不気味です。ヘミングウエイ博物館は、建物が大きいわりに展示品は少ないですが、日本からはあまり訪ねていかないようで、案内人は、日本人だとわかって歓迎してくれました。


高架鉄道 ”L”Green Line State 駅
夜間の使用はおすすめできませんが、これに乗ると、いろんなところに行けて便利。

 

CTA ("L") の切符。学会参加証と一緒に送られてきます。3 日間有効のものです。
7 日間有効のもののほうが便利かも。

 

 

ライトの作った(全部ではない)オークパークの家並み

 

 

 

ヘミングウエイ博物館
オークパーク観光案内所から徒歩5分ほどのところにあります。

 

飛行機について

2000 年は全日空、2001 年は日航+パンナム共同、2002 年、2003 年はユナイテッド、2005 年は日航、2006 年、2007 年はユナイテッド、2009年は全日空を使いました。テロ事件の影響だろうと思うのですが、全日空シカゴ直行便は、2001 年 11 月で一度、廃止されています。2006 年に再開されています。2002 年にユナイテッドを初めて使いましたが、驚きの連続でした。カラー映画が白黒だったり、映画の音声がスペイン語だけだったり、お客に対するサービスがなっていません。食事も、かなりまずいです。日航もまずいですが、下には下があるものです。シカゴ往復の値段は、日航が 22 万円、ユナイテッドが 11 万円でした。ユナイテッドも、キャンセル待ちにすると、7 万円くらいで、席がとれることもあるそうです。 ユナイテッドエアラインは、RSNA 参加者は 10 %割引があります。 ただし、正規料金の場合だと思います。学会からメールが来ますので、見逃さないようにしてください。その中にプロモーションコードが書いてあるはずです。購入が終わってからの割引はできませんので、注意してください。もし、インターネット予約でプロモーションコード入力場面が見つからなかった場合、電話予約して ください。すでに購入が終わっている場合、解約料は 3 万円 (2007 年時点) 取られますので、10% 割引では全く割に合いません。ユナイテッドは、全体としては、悪くないと思っています。最近は、機体を小さくしているようです。これは航空機業界の最近の流れです。エンジンが双発 (2 個) ですが、不安はありません。以前は、大洋を渡る飛行機はエンジンが 4 個必要という規制があったのです。最新型の機体は、個人別にモニターがつい ています。しかし、日本語の映画はかなり少ないので、個人別モニターはたいして意味がありません。中国語の字幕映画や中国語吹き替えの映画のほうが多い印象です。

初日から参加する方は、土曜日に日本を出ることになると思います。日航と全日空は、朝早く着く (2007 年時点 : 全日空 7:40, 日航 8:30) ので注意してください。ユナイテッドの共同運航便であれば、昼や午後につく便があります。私は、2000 年は、全日空で 8 時頃にシカゴに着いてしまい、荷物が邪魔なのと、仕事をしたいのでホテルに入ったところ、1 日分余分に宿泊料を取られたことがあります。9 時頃から部屋を使えば、1 日分要求されるに決まっていますが・・・。おおむね 12 時を過ぎると、部屋を使わせてくれます。清掃が終わった部屋を割り当てるのだと思います。学会がないのはこの日だけですから、大手を振って観光にいけます。これは、昼寝をしないための方策でもあります。別記しましたが、初日に昼寝をしては絶対いけません。初日に昼寝をしたら、学会の間中、時差ぼけに悩まされることになります。美術館や水族館に行って、むりやりにでも起きていてください。途中参加の方は、朝早く着く便が便利です。全日空は人気が非常に高く、学会発表できることがわかる 7 月後半には、安い席は、すでに満杯で予約できません。学会の最中から翌年分の申し込み受付が始まっています。

荷物はなるべく棚に乗せてしまいましょう。足元に、なるべく荷物をおかないことが、快適な飛行機の旅のコツなのです。足が自由に動かせると、かなり楽です。2002 年は、席は真ん中でしたが、お土産もすべて棚に乗せてしまい、比較的、快適な 13 時間をすごすことができました。足元が窮屈だと、拷問の旅を経験することになります。パソコンを使う予定であれば、棚に荷物を乗せる前に、パソコンを出しておきましょう。外国人を見ていると、自分の座席の近くでなくても、空いてる棚があれば、無理矢理にでも、荷物を載せてしまいます。要するに、足元に荷物を置くことの問題点を理解していると言えるでしょう。機体が大きく揺れた時も危険ですし・・・。ただ、最近は、セキュリティのため、機内持ち込みの手荷物が小さくなっているので、載せられなくて困っている人をあまり見かけなくなりました。以前は、棚の争奪戦という雰囲気だったのです。

予約の時に、席を指定する方法があります。一般的には通路側がおすすめです。航空会社のカウンタでは、"I hope Aisle." と言いましょう。なぜなら、簡単にトイレに行くことができるからです。もっとも、奥の人がトイレに行くたびに、起こされることになりますので、どこが絶対的に得とは一概には言えません。景色はどうせ見えないので、窓側が得でないことは間違いないと思います。窓側は、トイレに行くとき大変です。外国人にとっても通路側が人気なので、簡単に取れないことは覚悟しておいてください。私は、2003 年、2005 年、2006 年、2007 年、2009 年は、行きも帰りも通路側で快適でした。

アメリカへの入国審査は、厳しくなる一方です。2006 年 11 月時点では、左右の人差し指の指紋と顔写真を撮影して登録します。将来は、5 本の指とも登録されるようです。悪用されなければいいですが・・。また、帰国の時に、出国証明をする必要があります。ゲートのところに機械があり、同じように、パスポートと指紋の照合、顔写真の撮影が行われます。

成田からシカゴまでは、時期によって違うのでしょうが、11 月は偏西風のため、行きは追い風となり、11 時間前後かかります。帰りは逆風になるので、13 時間ほどかかります。飛行機によっても、多少違うのかもしれませんが、そこまで検討したことはありません。正直つらい旅ですが、これが 1 時間くらいで着いてしまうのであれば、外国へ行ったという実感もないかもしれません。

 

* 飛行機が飛ばなくなる時 : ( 2006 年の Storm 関連の状況を元に書いています)

実際に、こういう問題が生じるとかなりあわてます。2006 年は、RSNA の最終日にすごい嵐が来て、雪が大量に降り、帰国予定日に飛行機が飛ばない可能性がありました。私はうかつだったのですが、大きな嵐が来ていることは毎日のようにテレビ報道されていたようです。空港がまるきり閉鎖されてしまえば、飛行機はキャンセルなので、予約を取り直す必要があります。予約を取り直す判断が遅れれば遅れるほど、帰国する日も遅れることになります。なぜなら、予約取り直す人が殺到してしまうからです。飛行場で、出発遅延で待っているのはつらいものですが、キャンセルに比べたら、はるかにマシです。どんなに遅れてもいいから、とにかく当日飛んでほしい。帰国が 2 日も 3 日も、あるいはそれ以上も遅れるのは非常に困る。費用だけの問題ではないです。

どうするか対処法の判断の基準は、噂を総合すると、次のとおりです。(全くの噂にすぎないこともあることに注意)

1) 10cm くらいの積雪であれば国際線は飛べる。国内線は、同じくらいの積雪でも飛ばないことが多い。なぜ国内線が飛べないかというと、機体が小さく、エンジン出力が小さいためだそうです。また、飛行場は、国内線より国際線優先だそうです。昔、Ohare 空港で、 RSNA の終了日に積雪が 30cm を超えたことがあったそうですが、そのときは、国際線も国内線も完全閉鎖。

2) 成田への帰国便の場合、アメリカ各地から、シカゴにきて、さらに成田へ飛ぶ飛行機もあるので、シカゴの状態だけ見ていても、遅れがどうなるのか、飛べるのかどうかはわかりません。始発あるいは途中の空港の天気はもっと悪いかもしれません。実際のところ、シカゴ始発の飛行機は、30 分ほどの遅れで飛んでいきましたが、ボストンから飛んでくる私の飛行機は 4 時間も遅れました。ニューヨークから飛んでくる ANA は、5 時間以上待たされたそうです。

3) 空港への高速道路は大渋滞でした。普段は、30 分から 40 分ほどですが、2006 年 12 月は、1 時間 30 分もかかりました。事故などはありませんでしたので、自然渋滞です。雪を大量にかぶったブルーラインの車両が、タクシーを追い抜いて行きます。あるドクターは、ブルーラインは、昔に比べたら安全だと言っていました。しかし、慣れていない人は、早く出てタクシーを使うのが、原則ではないかと思います。タクシーが全く動けないくらいだったら、飛行機は飛ばない可能性が大きいと思います。私の乗ったタクシーの運転手は、”こんなひどい天気で飛行機は飛べるのか?”と心配していましたが、結局飛ぶことができました。

4) 飛行機キャンセルの場合、ホテルを確保する必要がでてきます。O'hare 空港の周囲には、ホテルがいっぱいあるので、そこに泊るか、あるいは、今いるホテルを延長するか、どちらかしかありません。一度、チェックアウトすると、新規予約ということになり、料金がかなり高くなるらしいので、飛行場まで行ったからには、飛行場の周囲のホテルに泊ったほうが良さそうです。一般的に、空港周辺のホテルのほうが市内より安いみたいです。国内の飛行機会社は、たぶん、ホテルを斡旋してくれると思います。海外の航空会社はよくわかりません。斡旋してくれない場合は、空港の電話ボックスのところに置いてある電話帳で探すことになるそうです。今だったら、インターネットで予約することになるのでしょうが、結構つらいかも・・・。ホテルの料金は、たぶん、航空会社は持ってくれないと思いますが、人によって意見が違うので、よくわかりません。こういうとき、日本の航空会社は面倒見てくれるかもしれません。

5) 飛行場閉鎖の可能性がある場合、閉鎖になってしまう前に、予約のとりやすいアメリカ国内の飛行機で、天候の良い飛行場(ロサンジェルスなど)へ行って、そこから日本への国際線に乗るという手もあるそうです。昔、Ohare 空港が閉鎖になった時に、ロサンジェルスに飛んで、そこから国際線に乗ったドクターの話を聞きました。帰国は順調にできたが、ものすごく疲労したそうです。国内の飛行機の予約と、国際線の予約も取らなくてはなりません。その連絡がうまくいくかどうかも考えなくてはなりません。場合によっては、ホテルの予約も取らなくてはならないでしょう。これはこれで、かなり大変です。言葉の流暢な頼める人がいればいいですが、自分で実行に移せるかどうか、よく考えましょう。

6) 帰国予定日 12 月 1 日の翌日の天気予報が晴れなのを見て、早々と翌々日 12 月 2 日の飛行機に変更した方もいます。結果は不正解でしたが、もし、12 月 1 日に飛行機が飛ばなかったのであれば、有効な策だったということになります。飛行機が飛ばないことが完全にわかってからでは、翌日以降の早い日の飛行機に変更する人が殺到してしまうからです。注意しなくてはならないことは、格安チケットは変更ができないことです。変更できるのは高価な正規購入だけです。ですから、格安チケットの場合は、いったんキャンセルして、新たに予約することになります。帰国予定日の午後から雪が止みそうだ、という予報がなければ、私も翌日 12 月 2 日の飛行機を予約したかもしれません。日曜日には帰国できれば、仕事には影響を与えません。

私は、当日帰れるというほうに賭けることにしました。

** いざとなれば、日本の国内のことは、日本の同僚にまかせるしかないと思います。そういえば、数年前のアメリカでの別の学会の時のことですが、天候不良のために、1 週間も遅れて帰国した同僚がいたのを思い出しました。ASCO (アメリカ癌学会)だったと思います。正直、相当まずいとは思いますが、仕方ないですね。おみやげは相当のものを買って帰る必要があるでしょう。

7) 携帯電話の項目にも書きましたが、携帯電話が大活躍しました。また、パソコンも大活躍しました。インターネットやメーカーの現地の社員と連絡が取れれば、天気や飛行場の様子がよくわかります。一番頼りになるのが、日本のメーカーの現地の社員です。

もっとも、航空会社に電話したところ、私の乗る飛行機は、on time であるとのことだったので安心してホテルを出たのですが、いざ飛行場に着いてみたら、遅延という表示でした。飛行場でのダイレクトな情報に比べて、ある程度の情報遅延は仕方ないと思います。飛行場で待っている間ですら、どんどん出発が遅れていくのですから・・・。いずれにしても、携帯電話、パソコンは情報収集の道具として貴重です。持って行くのは必須だと思います。グループの場合、パソコンは 1 台だれかが持っていれば大丈夫かもしれません。

** ちなみに、この日( 2006 年 12 月 1 日)の成田行きのフライトは結局、次のような飛行状況でした。アメリカ国内便はほとんどが飛べませんでした。

10:45 離陸予定の ANA ーーー> 18:00 離陸(遅くなった理由は、ニューヨーク空港も天気が悪くてなかなか飛べなかったこと)

12:02 離陸予定の UA ーーー> 16:00 離陸(遅くなった理由は、ボストンからシカゴに来るのに時間がかかったこと)

12:45 離陸予定の UA ーーー> 13:30 頃離陸 (あまり遅くならなかった理由は、シカゴ始発だったこと。ところが、離陸後まもなくエンジントラブルが発生。サンフランシスコで降りてしまっています。なんと日本に着いたのは翌々日。)

成田行きは、他に午前中に JAL があったと思いました。5 時間以上、遅れたと聞いていますが、詳細不明です。実は、日本に着いたのが一番早かったのは、私の乗った飛行機だったことが後からわかり愕然としています。

 

持っていったほうが良いもの、役立つもの

1) 絶対忘れてはいけないもの

クレジットカード(2枚以上、別の場所に保管)、パスポート、パスポートのコピー、航空機チケット、発表原稿(ポスター)、事前登録参加証、海外旅行保険の証書、現金(おおむね 1 日あたり 40 〜 50 ドルほど: 1 週間なら 280 ドル〜 350 ドル)、腕時計、使い慣れている目覚まし時計、携帯電話の海外利用マニュアル、 ESTA アメリカ入国許可証、パソコン、無線 LAN ルーター(Eye-Fi Card や iPhone, iPad を使う人向け)

冗談ではなく、私の知人でパスポートを忘れたために、行けなくなった人がいます。空港でパスポートを忘れたことに気づいたのですが、家にもどって取ってくる時間はありませんでした。もうどうにもなりません。なお、パスポートの原本が絶対必要なのは、空港とホテルだけです。他のところにはコピーを持ち歩くようにします。自宅にもコピーを忘れずに置いておくこと。もし万が一、パスポートの本物を無くした場合には、日本大使館に再発行申請をすることになりますが、そのときに、パスポートのコピーと写真があれば、再発行が早くできるそうです。なお、コピーでは駄目で本物のを要求されることもあるそうです。その時は、ホテルに戻れば良いのではないかと思います。パスポートあるいはパスポートのコピーは現地についてからは、カバンではなく、身につけるのが原則です。カバンは盗まれやすい。クレジットカードだって盗まれれば困りますが、使用停止にすればとりあえず問題はなくなります。しかし、パスポートがなくなると帰国できません。再発行には一週間以上かかるそうです。

上記以外のものは、お金さえあれば、アメリカでも買えるのです。パソコンですら買えます。( 最近のノートパソコンは国際化されているので、設定しさえすれば、たとえアメリカで買っても、日本語も問題なく使えます。設定は簡単ではないことが残念ですが・・)衣服も買えます。荷物紛失の可能性もあるので、クレジットカード、パスポート、航空機のティケット、現金、発表原稿、学会参加証だけは、常に身につけている必要があります。ネクタイ、アイマスクなどの小物も忘れないでください。小額のドルは、タクシーに乗る時とチップ払い用です。タクシーは必ずしも信用できないし、カードが使えるとは限らないので、現金で払ったほうが良いです。

普段、腕時計をしていない方は多いと思います。私も、うっかり高価な腕時計をしたまま、MRI 室に入ってしまい、それ以来、腕時計はしていません。携帯電話が時計代わりです。しかし、旅行や学会のスケジュールに合わせるためには、腕時計は必須です。忘れても空港やアメリカのワルグリーン ( 24 時間ショップ) で買えば良いのですが、5000 円近くしますし、海外出張のたびに空港で時計を買うのは無駄です。私は、海外出張のたびに、成田空港で、持ってくるのを忘れたのを思い出し後悔しています。

発表原稿は、USB ディスクにも必ず保存して持っていきましょう。データさえあれば、なんとかできる可能性があります。私の上司が、昔、ヨーロッパの学会に行き、口頭発表の原稿を用意していったところ、実はポスター発表で、あわてて手書きでポスターを書いて貼ったという話を聞きました。今なら、データさえあれば、なんらかの手段で、きれいに印刷できるのではないかと思います。大型のポスターが紛失したのであれば、A3 に分割したポスターを貼れば(大型のポスターについては不明ですが、A3 サイズなら、Macormick Place 会場の Kinko's で印刷できる可能性が大きい)、手書きに比べれば、はるかにましです。汚いディスプレーは発表内容の信頼性を大幅にさげてしまいます。

2009 年 1 月 12 日より、米国国土安全保障省 (DHS) による電子渡航認証 (Electronic System for Travel Authorization: ESTA) が義務化されました。この新しいオンラインシステムは、ビザ免除プログラム (VWP) の一部で、米国に短期商用・観光目的( 90 日以下)で旅行するすべての VWP 渡航者は、米国行きの航空機や船に搭乗する前にオンラインで渡航認証を受けなければなりません。2009 年 11 月時点で無料ですので、有料の商用サイトに引っかからないように気をつけてください。パスポートのナンバー、飛行機の便名、ホテルの名前、ホテルの住所を入力しなければならないので、まず書類を準備してから入力を始めましょう。なお、内容は、以前飛行機内で入力していたことなので、心配するようなものではありません。

ESTA 申し込み

最近のアメリカの高級ホテルはまずインターネットは使えます。しかし、無線 LAN だけだったり、有線 LAN だけだったりします。無線 LAN だけの場合、無料のことが多いので、そういう意味ではありがたいのですが、全館で共通で使うので遅いような気がします。それでも、無線 LAN が使えれば問題は少ないのですが、有線 LAN だけの場合、自分で無線 LAN ルーターを用意しないと、Eye-Fi Card (デジカメ用の無線 LAN カード)や iPhone,iTouch が使えません。そのために学会会場の無線 LAN を使うのはあまりおすすめではありません。私は泊まる予定のホテルが Wired LAN 無料使用(要するに無線 LAN なし)と書いてあるので、定評のある AirMac Express を持って行くことにしました。小型ですし、Windows の方にもおすすめできます。

2) 持って行かないほうが良いもの

かみそり、整髪料、はさみ類。要するに、刃物と液体製品です。こういうものは、空港で必ずひっかりますし、液体の製品は、トランクの中で漏れたら大変なことになります。刃物も整髪料も、市内に豊富にあるドラッグストアで購入できます。あちらで購入しましょう。ただし、ナイフだけは、ドラッグストアで売っていないし、Chicago 市内では、なかなか購入できないので、果物を食べる人は、トランクに入れておいたほうが良いです。なお、市内で購入した液体類は帰国するときに捨ててきます。液体製品は重いです。そんなものを持ち帰るくらいだったら、一冊でも本を余分に購入しましょう。2006 年夏ロンドンで、爆薬の原料である液体を哺乳瓶に入れて、機内に持ち込もうとしたという事件がありました。今後は、もう液体製品を持って行こうと思わないほうが良いと思います。

日本でしか使わない携帯電話はなくさないようにしましょう。中のカードを抜かれて、国際通話で使われると大変なことになります。ホテルの金庫にしまい、持ち歩かないのが原則です。

3) ノートパソコン
発表しないとしても、パソコンは持っていったほうがいいです。紙のマニュアルとは検索の容易さ、精度が段違いです。ありとあらゆる情報が、パソコンで得られます。天気、飛行機の発着状況、学会プログラム検索、学会ニュースなど、もはやパソコンを持って行くことは必須と言えると思います。

発表原稿がある場合、RSNA が Windows マシンを標準にしているのですから、Windows マシンがベターです。もし、Mac で作って口演するのであれば、 Mac には、 BootCamp をインストールして、Windows 版の PowerPoint が使えるようにしておいたほうが無難です。Mac で作った PowerPoint 書類は、Windows に移した時に、レイアウトが微妙に変わってしまう可能性があります。本当に微妙なら問題はないでしょうが、一文字ずれただけで、全体のレイアウトが崩れてしまう可能性があります。 Windows 版の powerpoint で確認することをおすすめします。当然ながらLAN(有線、無線とも)使えるようにしておきましょう。ホテルによって、無線LANしかない場合と、有線LANしかない場合があります。最近の状況を考えると、無線LANのほうが役にたちそうです。私は、発表の前日、造影剤の正確なつづりがわからなくなり、インターネットで調べました。メールのやりとりや WWW の検索など、インターネット接続できるようにしておくのは非常に役にたちます。こうしておけば、日本にいるベテランに再度原稿を見てもらうこともできます。また、飛行機の出発状況、天気予報等、情報収集の道具として欠かせないと思います。レストランの予約も Internet でできます。言葉できちんと説明できる自信があれば、電話でも良いでしょうが・・。無線 LAN しか使えないホテルもあるので (Omni) 、無線 LAN 機能も持っているパソコンにしましょう。

最近のホテルは、LAN が使えるところが増えています。私は、LAN が使えるホテルしか泊まらないことにしているので、実態はよくわかりません。たぶん、最近の高級ホテルでは、すべての部屋に LAN が付属しているのではないかと思います。費用が別途、発生するのが普通みたいです。(聞いた範囲では、1 日 10 ドル ~ 13 ドル前後)あらかじめ確認してください。2003 年の Westin River North (1 日 10 ドル) 、2005 年の Sheraton(1 日 10 ドル) 、2007 年の Westin Michigan Avenue(1 日 13 ドル) で、LAN が使えました。2006 年に泊った Omni Chicago ホテルでは、無線 LAN が無料で使えました。これは得したと思ったのですが、メールは問題なく使えるのですが、線が細いみたいで、Internet の使用には制限がありました。Internet をばりばり使っていると、突然 Off Line になってしまうのです。

** RSNAの会場でも無線LANが使えますが、シカゴの街中の無線LANの無料スポットは次の通りです。(2009 年時点)

a) ミレニアムパーク(ミレニアム駅近傍)
b) シカゴカルチュラルセンター(ミレニアム駅近傍)
c) シカゴデイリープラザ (ループ地区)
d) ハロルドワシントン図書館(サウス地区)

** 市内に何カ所かにある(ループ地区がほとんど) Kinko's (日本にもある有名なオフィスサービス会社)では、レンタルコンピュータ、ethernet アクセス、WiFi アクセスが使えます。
自分のラップトップを有線LANでつないで使いたい場合は、 Kinko's を使いましょう。ただ、申し訳ないですが、費用が調べてもわからなかったので、現地で調査してください。
ビジネス用なので、そんなに安くはないかもしれません。その代わり、変な人もいないでしょうから、安心して使えると思います。
intenet を使いたいから Kinko's を使用したいのに、その Kinko's を探すのに internet 検索が必要という矛盾した状態ですが、ループ地区には、9カ所も Kinko's があるので、歩けば、たぶんすぐ見つかると思います。
ハロルド図書館は巨大で、パソコンも設置されてますが、いつも満席みたいです。


RSNA 会場にも、無線 LAN が設置されているので使えます。日本とのメールも問題なく使えました。

なお、 "LAN" とか "Wireless LAN" という表現は、アメリカでは通じません。high speed internet とか、internet service という表現を使います。使いたい時は、 "Can I use High Speed Internet? " とか "Can I use Wireless Internet Service?" と申し込みましょう。

2003 年〜 2009 年は、行きの飛行機も帰りの飛行機も、ずっと飛行機の中でパソコン使い続けることができました。最大限の節約モードにします。電気を消費する拡張カードなどはすべてはずします。無線機能がオンになっていると飛行機内ではまずいし、かなり電気を消費するので、オフにしておきます。食事時間や、うとうとする時間を考慮すると、7 時間使えれば、実質的には、乗っている間中、フルに使える形です。座席が狭いので、B5 ノートが良さそうです。A4 だとちょっときついです。

口頭発表のある人は、パソコンに英語の電子辞書を入れておきましょう。これは非常に役にたちます。発表の前日になって、急に英語の発音を確かめたくなり、辞書を何回もひきました。普段何気なく使っている、自分でよくわかっているつもりの単語なんかが意外にアクセントの位置を勘違いして覚えていたりするものです。辞書と思えば、ノートパソコンの重さは気にならないでしょう。

パソコンは、アメリカでは貴重品ではないようです。ホテルの部屋に置いてあっても、まず大丈夫みたいです。(絶対保障はできません。Mac は目立つので、危ないかも)。2005 年のシェラトンに泊った時のことですが、出かけるときに、ホテルの金庫にあずけたら、ホテルの captain があきれた顔をしていました。むしろ、街中で鞄ごと盗られることを心配したほうが良いかもしれません。置いたままでかける時は、部屋の中で、むき出しにはしておかないほうが良いと思います。少なくとも、スーツケースもしくは鞄の中にはしまっておきましょう。盗難にそなえて、患者さんの名前が入ったデータは削除しておくことをおすすめします。いくら直前まで発表原稿を直すことがあったとしても、患者さんの名前まで入ったデータは必要ないはずです。

2007 年以降、Macormick Place 会場のあちこちにノートパソコン用の充電用の電源コンセントが用意されるようになりました。インターネットも無線 LAN でつなげます。会場には、インターネットアクセス用のパソコンが用意されていますが、そんなに混んでいませんでした。自分のノートでアクセスする人が増えているのだと思います。2006 年以前は、大勢の人が列を作っていて、使うのが大変だったのですが・・・。

4) デジカメ(観光にしか役立たないかも)
e-poster 発表 ( コンピュータ発表)が多くなっていますし、口頭発表は撮影不可です。デジカメは、会場風景の撮影とか、観光にしか役立たなくなりつつあります。ECR( ヨーロッパ放射線学会)のポスター発表は自宅でインターネットを通じて読めるので、いいのですが、RSNA は、そんなことはできません。紙にメモするしかありません。あまりに不親切な気がします。たぶん、クレーム殺到だと思うので、そのうち改善されるのではないでしょうか。興味のある発表を紙に印刷するサービス(有料でも可)、あるいは PDF で配布するというシステムが必要だと思います。紙のメモだけで実際の絵を覚えていられる人がどれくらいいるのでしょうか。2 時間くらいの講演でも結構きついのに・・・。

私はこれでもカメラマニアで、ニコン、キヤノン、ミノルタ、フジ、リコー等を学会へもっていって撮影しています。ミノルタのディマージュが性能が良かったのですが、ミノルタがデジカメから撤退してしまったので、他のメーカーに移らざるを得ませんでした。ソニーは、暗いところに強いし、いろんな機能があるので楽しいですが、故障しそうで怖いです。安定性のあるカメラがいいですね。また、いろいろ使っていて思うのですが、手ぶれ防止機能はかなり力不足です。手ぶれ防止機能に頼って安易に撮影すると、かなりぶれています。小型のデジカメは、軽いため、すごくぶれやすいです。脇をしめて、がっちり握るか、肘を何かに当てて固定すると良いと思います。帰ってからがっかりしないために、毎日、パソコンにデータを転送して、画質をチェックしましょう。最大の問題はぶれだと思います。ぶれさえしなければ、最近の小型デジカメの画質はかなりきれいです。電池もかなり保ちます。FUJI, Canon, Ricoh 、Panasonic のどれかを選べば、問題は少ないのではないかと思います。三脚の利用は無理だと思います。使っている人もいません。たぶん、三脚を堂々と設置して撮影していると、クレームが付くと思います。手持ちでも、気をつけて撮影すれば、意外にぶれません。


2003 年から紙のポスターの撮影には、撮影許可が必要なくなりましたが、作者が拒否しているものは、撮影禁止のマークが付くようになり、勝手な撮影ができなくなりました。発表申し込みの段階で、撮影されても良いかどうかの設定をするようになったのです。昔のほうが良かったと思います。現在は、おお!きれいだ!と思っても、作者が拒否している場合には、全く撮影できなくなってしまったので・・・。昔は、学会の許可さえもらえば、撮影制限は、一切なかったのです。口頭発表のほうは、ほぼ全面的に、撮影、録音が禁止されていますので、ご注意ください。


5 ) 携帯電話
携帯電話は必須だと思います。知り合いにも声をかけておき、電話番号を教えてもらって、登録しておくことをおすすめします。2006 年度に携帯電話を持って行って、つくづく良かったと思ったのは、学会最終日に嵐が来て、大部分の飛行機が飛ばないという大変な事態に陥ったからです。結局、私の乗る予定だった飛行機は、4 時間遅れで、出発することができました。実は、今、その飛行機内で、この文章を書いています。2006 年 12 月 1 日です。空港が閉鎖されるという噂もあり、どうするのか判断を迫られました。空港閉鎖となれば、帰国する飛行機を別の日に予約しなくてはなりません。いろんな情報を集めて、どうやら予定通り飛べそうだという判断をして、無事帰国の旅についています。現地の交通状況に関して大量の情報を持っているメーカーの現地の社員や飛行場に電話して、良質の情報を集めることができました。単なる待ち合わせの道具ではないと、つくづく思いました。

なお、海外電話のかけ方は、会社によってばらばらです。海外でも使える携帯を持って行く場合、向こうにいってから困らないよう、海外利用マニュアルを持って行くことは必須です。

電話は、つながらなくても、呼び出しするだけで費用を取られるのが海外携帯の一般的な仕様のようです。アメリカの国内同士の通話でもローミングが行われるので、いちいち日本を経由する費用が発生するみたいです。呼び出しを始めた時点から費用が発生します。とにかく、高いので十分な注意が必要です。待ち合わせの場所と時間の指定だけに使うのが良いと思います。

Apple の iPhone をお使いの放射線科医は多いと思います。eGFR の計算ソフトがあったり、Netter の解剖書アプリが販売されているので(結構高かった。解剖書が近くにない環境で、滅多に見ない指の解剖なんかを調べるには便利)、私は手放せません。なにもしなくても、そのままアメリカで iPhone は電話、WWW ともに使えます。ソフトバンクの SIM は、2010 年夏から、海外でも、パケットの上限が設定できるようになりました。ただし、ローミング相手の会社が限定されているようなので、事前に調査が必要です。データ通信料金に上限がないと、短時間の使用でも数十万円の請求書が来ますので、要注意です。

 

 ** 海外で携帯電話を使う上で、注意すべきこと。

それは、他人が使えないようにロックをきっちりとすることです。落としたら、すぐ届けてください。一番悲惨なのは、日本製の国際電話を紛失した場合です。すぐに届けでて、使用不能にしてもらう必要があります。なぜなら、通話が、すべて日本経由の国際料金になってしまうからです。SIMを取り出されて、短期間、使用されてしまっただけなのに、数百万円を請求されたケースもあります。電話会社は一切まけません。本人が使っていないという証明がない以上、当然でしょう。日本でしか使えない日本製の電話でも、すぐに届けてください。中のカードを抜き出されて、海外で使われてしまうケースが相次いでいます。携帯電話は、便利な反面、大変危険なので、もし使わないつもりであれば、海外へは持って行かないことをおすすめします。日本でしか使えないタイプでも、です。要は、落とさない、落としたら、面倒でもすぐに使用中止にしてもらう、ということです。


6 ) 眠り薬(レンドルミン、アモバン、デパス等)+めざまし時計
東に向かう飛行機旅行と西に向かう飛行機旅行では時差ぼけの発生の仕方が違います。東向けのほうが圧倒的にひどい。食事にも注意するべしという意見もありますが、機内食は選べません。睡眠導入剤を使えば、あちらでの夜時間にぐっすり眠ることができ、1 日で時差ぼけが直ります。私が RSNA に初めて参加した年は、アメリカにいた間中、時差ぼけが直らず、講演も最初から最後まで寝ているような状況で、なんのためにアメリカまで行ったのかわからないような有様でした。夜中になると早々と目がさめてしまい、朝までずっとベッドの中で、いらいらし続けるのです。2 年目以降は、睡眠導入剤を使って快適なアメリカ生活を送っています。しかし、初日の過ごし方は非常に大事です。昼間や夕方は眠ってはいけません。同僚と一緒にどこかへいくなりして、少なくとも夜 9 時頃までは、無理矢理にでも起きているようにしましょう。飛行機はおおむね昼頃に着くので、シカゴ美術館もしくはシェッドの水族館に行くのをおすすめします。こういう努力をしないで睡眠導入剤だけに頼るのは危険ではないかと思います。初日の夜に、現地の夜時間、ぐっすり眠れるかどうかが、それ以降のアメリカ生活の快適さを決定しますので、十分注意しましょう。

飛行場への遅刻と、発表会場への遅刻は最悪ですので、このあたりは慎重にやってください。発表が午前中にあったり、帰りの飛行機が早い時間の場合は注意してください。発表の前日は、薬を飲まないほうがいいかもしれません。友人や同僚に電話してもらうことも必要だと思います。

以前は、ハルシオン ( トリアゾラム ) を推奨しましたが、なぜか 2006 年の末に発売中止になってしまいました。似たような系統の薬が上記のようにいくつかありますので、専門家に処方してもらってください。当然ながら、短時間作用型の薬でないと、翌日眠くて困ることになります。また、医師ならわかっていると思いますが、肝臓で代謝されるので、肝臓が悪い人には使えません。また、アルコールを飲むと作用が増強し、記憶欠失になることがあるので、飲んだ時は、アルコール摂取は不可です。ハルシオンは、記憶欠失作用が比較的強かったので発売中止になったかのかもしれません。

7 ) タミフル・カプセル
インフルエンザ用です。外国では薬をもらうのが大変なので、日本で用意しておきましょう。1 日 2 カプセル 5 日分。それ以上は保険が効きません。

ついでに、抗生剤と抗炎症剤(痛み止め)、下痢止め、ステロイド軟膏くらいは持って行ったほうが安心だと思います。


8 ) 英語版の名刺( Business card)
いろんな場面で、要求されるし、使います。2002 年は、娘にパソコンで作ってもらいました。名前と所属と地位とメールアドレスを印刷してもらいました。これで十分です。日本人と知り合う機会も結構あるので、日本語と英語の両方を印刷しておいたほうが良いと思いました。英語だけだと、どこの所属だか、多くの日本人がわからないのです。


9 ) 傘(シカゴはいつもどんよりしています。雨も結構降ります)
会場内では濡れるところはありませんが、街中を歩く時に困ることになります。もちろん、折りたたみで十分です。


10 ) ドルは、500 ドルあればかなり余裕でしょう。使うのは、タクシー代(帰りの空港までのタクシー代約 45 ドルを忘れないこと)と昼飯、チップ用の小銭くらいです。後は、カードが効きます。もちろん、カードは必須です。アメリカは、完璧なカード社会ですから・・・。カードがないとまともなホテルには泊まれません。デポジット(前払い)も要求されます。 JCB は使えないことが多いので、VISA か MASTER にしましょう。私は、初年度は JCB で困りましたので、それ以降は MASTER  と VISAです。JCB カードは拒否されることがあります。私は、RSNA に出店している本屋に JCB を拒否されました。ショックでしたが本当です。仕方ないので、両替して払いました。カードをなくすと大変なことになるので、複数枚持って行きましょう。別々の場所にわけて所持し、1 枚だけ紛失しても大丈夫なようにしておきましょう。もちろん、無くしたら、即座に届けて無効にする必要があります。

500 ドルという額は余裕たっぷりですが、毎日タクシーでシカゴ市内と学会会場を行き来したら足りなくなるかもしれません。無料のバスか Metra を使うのが基本です。余ったら、日本円に再度両替してもよいし、おみやげ店で使っても良いでしょう。おみやげの定番のチョコレートは、結構高いです。3 ,4 人分くらいの分量のチョコレートで、30 ドルから 40 ドルくらいします。おみやげを渡す相手の数によりますが、私自身はいつも 150 ドルから 200 ドルくらいをチョコレートの購入に使っています。

チップ用の小銭は、成田空港などである程度の枚数を用意してください。硬貨は、まず積極的に使う機会がありませんが、1 ドルや 5 ドル紙幣は、頻繁に使います。別記しましたが、チップの最低額は1ドルで、ドル単位で払います。チップに硬貨など、1ドル以下のものを使ってはいけません。また、50 ドル以上の紙幣は、持っていく必要はないと思います。 50 ドルとか 100 ドルといった高額の紙幣を持っているところを見られたら、スリに襲われるだけだそうです。また、100 ドル紙幣は、偽札を疑われるそうなので、面倒です。したがって、両替は、大量の 1 ドルと 5 ドル紙幣に、少数の 10 ドルと 20 ドル紙幣という形になると思います。なお、財布を人前でオープンに見せるのは厳禁です。

 

 * チップの標準額は、15%

タクシーに乗ったときの荷物が多かったり、部屋を汚したりした時など余分な手間をかけた時は、増額しなければなりません。ついでながら書いておきますが、タクシー料金は日本と違って一台あたり幾らではなく、一人増えるごとに料金が増えます。タクシー内に料金の計算法が書いてあるので見てください。二人だから二倍というわけではないですが、複数の人数で乗る場合には増額する必要があります。

チップはカード決済の場合、現金で払う必要はなく、サインする紙の中にチップの金額を記入します(記入欄がある)。店側は代金とチップを合計して請求する。きっちりと計算して半端な額になったからといってチップとして硬貨を使ってはいけません。 安い単位の硬貨で払うことは、サービスへの不満の表れとされており 、従業員に侮辱されたと受け取られる可能性があります。切り上げてドルの単位にして払いましょう。日本人に慣れている店であれば、見逃してくれる可能性もあるでしょうが、あまり日本人がいかない店だとあぶないです。

目安:
・ ルームメード 1 ベッドごとに 1 ドル (枕の下に入れないこと。従業員は、泥棒と間違えられることを非常に恐れています。解雇されるからです。テーブルの上に、"Thank you." のメモと一緒に机に置く。)
・ ドアマン 1 ドル
・ ルームサービス 1 ドル
・ レストラン 15 ~ 20 % (高級なレストランは 20 % )
・ タクシー 15 % (重いものを持ってもらったりしたら、増額すること。)

笑ってしまったのは、有名なステーキハウスのローリーでのことですが、メニューに日本語でチップの額の計算の仕方が書いてありました。日本人は、相当馬鹿にされていると思います。ローリーでのチップの計算法には、20 % と記載されていました。高級レストランでは、20 % 以上が標準です。ジーパンで入れない店は、高級レストランと考えれば良いのではないでしょうか。

チップは、アメリカでは、料金の一部と考えてください。tip included あるいは service included と請求書に書いてあるのに、英語のわからない日本人に、さらに要求したりすることがあるそうなので要注意ですが、そんなことは滅多にありません。ヨーロッパでは、チップは払わなくても良いのかもしれない。しかし、アメリカでは必須であると考えておいてください。実際、オーストリアのウイーンのレストランで食事をしましたが、チップは要求されませんでした。ヨーロッパでは謝礼の一部みたいな考え方らしいので、払わなくても文句は言われないと思います。もし、サービスが悪いと感じたら (食事がなかなか来なかったとか、態度が悪いとか、注文を間違えたとか) 、二度と来ない覚悟で、10% 以下にしても良いそうです。学会参加だけだったら、一時的な旅行者にすぎないので、チップの増減などという高級な芸当はできないと考えたほうが良いのではないかと思います。

11) 防寒具
2000 年、2001 年と暖かでしたが、2002 年、2005 年は雪が降り、かなり寒かったです。2006 年は、前半は驚異的に暖かく、コートを着ている人を見かけないほどでした。その代わり、雨がかなり降り、学会最終日の前の日から猛烈な寒さとなりました。

  パソコンは持っていかれるかたが大部分と思いますが、天気予報は毎日チェックすることをおすすめします。

いくつか天気予報のサイトを見てみましたが、下記が良いみたいです。気温を " ℃ " で表示しくれるサイトがあまりありません。広告がうるさいのが難点ですが・・・。

シカゴの天気予報のページ

シカゴは、おおむね函館の緯度にあります。スキー場にいくつもりでいたほうが良いと思います。夜などは、手袋がないと、手がしびれたように感じた日もありました。雪は降っても、地元の人は、慣れっこなので、車が渋滞したりすることはないみたいです。今までの経験では、道に雪が積もって歩きにくかったということはありませんので、靴は普通で良いと思います。

12) 衣類をどうするか
これは大変難しい問題です。私は、スーツ 1 着、セーター2枚、ズボン 2 着、シャツ・下着・靴下は、毎日交換するので日数分を持って行っていますが、もう少し減らせないかなと思っています。端折れるとしたら、下着を自分で毎日洗濯する、ズボンとセーターを 1 着減らすことくらいでしょうか。最近、旅行グッヅ専用ショップで使い捨て下着を見つけました。紙でできたものと、薄い布製品とがあります。紙とはいっても、覆布みたいにごわごわしていないので、実用性はあります。男性用も女性用もあります。入院した時などでも使えるようです。

とにかく、荷物はコンパクトなほうがいいと思います。ベテランのドクターほど荷物が少ない印象があります。空きのできたトランクには、本を詰めて帰ってくるのです。Amazon.com で購入すると割引が基本的にない上に、送料が数千円つくことが多く、しかも中身が見えないという欠点もあります。これは断然お得ではないでしょうか。それと、会場の業者に別送してもらうことはできるのですが、その場合は、もちろん、有料な上に、日本に届くまでに 4~6 週間もかかるのです。誰かにその話しをしたら、みんなが一斉に買うので、配送がすぐできないのだ、というような返事をもらいましたが、いずれにせよ、それだけの期間がかかるのは間違いありません。是非、自分のトランクに詰めて帰ってきましょう。

2006 年は、うっかりネクタイを持っていくのを忘れてしまいました。気がついたのは、学会初日の発表当日でした。同僚に貸してもらおうと電話したのですが、もうすでに会場にいるとのことでどうにもなりません。でかける直前に気がついたのですが、まだ 7 時前、店は開いていません。どうしたかというと、ホテルのキャプテンに話をして、貸してもらうことができました。ちょっとよれよれでしたが、文句は言えません。どういうふうにお礼したら良いかわからなかったので、言葉でお礼しただけで済ませてしまいましたが、お金じゃ変だし、ネクタイみたいな趣味性の高いものを渡すわけにはいきません。ちょっと心残りです。

13) かばんをどうする?
私は、ショルダーバッグとスーツケースの組み合わせです。ショルダーバッグに大事なもの(パソコン、大事な書類等)を入れています。普段(日本で)はバックパックですが、バックパックは、海外旅行には不可とされています。また、大事な荷物は、絶対に、床においたり、横の棚などに置いてはいけません。従って、手持ちの鞄は不可です。また、バッグは一つだけにすべきです。2 つもっていると、どちらか忘れることになりがちです。ウエストポーチも不可です。

 A)バックパック(デイパック): 後ろでファスナーを開けられてもわからないので不可。
 B)肩ひものない手持ちのかばん: 何か手を使う時に、カバンを床や横に置かなくてはならないので不可。
 C)ショルダーバッグも、背中側に回すのではなく、腹側にかかえる。

カバンを盗み目的で引っ張られたら、抵抗してはいけないとされています。荷物より命のほうが大事ですから・・・。盗もうと思われてしまうような隙のある格好をしないことが必要なのです。アクセサリの付いたカバンを持って歩くのは、”目をつけてください。”と言っているようなものです。アクセサリは、一切、すべてはずしましょう。服装は地味に、荷物はシンプルに、がアメリカ旅行の基本です。また、床に荷物を置くと、親切を装った人間が持っていってしまうこともあります。ホテルのロビーにカバンを置いたところ、身なりのきれいな人がカバンを持ってくれて、ありがたい、と思っていたら、そのままカバンを持ち去られてしまった某ドクターの実例もあります。カバンの中に発表原稿が入っていて、その後、大変だったそうです。

14) 海外旅行保険をどうする。
保険に入ることは必須です。可能性があるのは、海外で病気になって入院治療を受けること、なんらかの怪我をして入院治療を受けること、ホテルでうっかり風呂をあふれさせて、自分の部屋、階下の部屋を水浸しにして賠償金を請求されること等です。アメリカで手術を受けたり、入院すると、たとえ短期でもかなりの金額になります。日本では考えられないくらいの費用が発生します。たとえば、アメリカで虫垂炎の手術を受けると、おおむね、150 万円〜 250 万円ほどがかかります。入院は 1 日のみ。ちなみに日本は 1 週間入院して、40 万円ほど。大げさだと思わないでください。最近のサブプライム問題が発生する前の統計ではありますが、カード破産 1 % に対して、医療費破産がアメリカ人の破産全体の 50 % ほどをしめています。

クレジットカード付帯の海外旅行保険も結構な内容ですが、クレジットカード付帯の保険は傷害、疾病治療費の保障金額が低いことが大きな欠点です。旅行の費用(交通費、ホテル代)の払いを該当カード会社を使わないと保険がでないところが多いようです。旅行の時の保険は、クレジットカード付帯の保険で十分と考えたこともありましたが、海外旅行保険の主な目的がアメリカでの入院・治療費用を保障することだと考えると足りない可能性があります。傷害・疾病治療費用が無制限というタイプは、2007 年 5 月時点で、AIU にしかないようです。この場合、保険料(払う値段)は、ちょっと高いです。損保ジャパンには、治療費と損害保険のみという経済的な保険があります。下記の条件の場合、2960 円と非常に安いのが特徴です。( 2007 年 6 月 3 日時点:アメリカ、一人旅、8 日間で計算)。また、一般的に、レンタルカー運転時の事故の保障はないようなので、注意してください。普通は、レンタルカーを借りる時に、自動車専用の保険に入るでしょうから、あまり問題がないとは思います。

話がややこしいのは、保険に入っていれば全額が出るのか、という疑問です。アメリカでは、治療を受ける際には、「もし保険会社から治療費が支払われなかった場合、必ず自分で支払います」という宣誓書に署名させられるのだそうです。ちゃんと保険がおりるまで安心はできないとされています。たとえば、虫垂炎では、せいぜい 1 日しか入院しないのがアメリカでは常識です。日本的な感覚で、虫垂炎で 1 週間も入院した場合、その全期間が正規の保険対象になるとはとても思えないのです。

海外旅行保険比較 サイトです。

下表は、私の持っている TOYOTA GOLD カード、AIU 保険、損保ジャパンの保障金額の比較です。金額は、カード会社によって違いがあります。インターネットでは、傷害死亡時の金額しか公開していないカードが少なからずあるので、あまり詳しい調査ができませんでした。傷害死亡時の保障金額は、日本で生命保険に加入している場合、額が合計されます。傷害治療費用、疾病治療費用、損害賠償額が重要です。私が調べた範囲では、カードの付帯保険では足りないので、別途、旅行保険に入るべきだという意見が強いようです。()内は、別の会社のカードの保険金額です。金額は 2009 年のものです。たぶん、金額と内容は時期などで変化すると思われます。実際の金額は自分で確かめてください。

Visa Gold(TOYOTA)

旅行保険ー AIU 個人タイプ

旅行保険ー損保ジャパン
傷害死亡・後遺症
5000 万円 (1000 万円〜 5000 万円)
3000 万円

0 円

疾病死亡時
0 円
3000 万円
0 円
傷害治療費用
150 万円 ( 50 万円〜 300 万円)
無制限
2000 万円
疾病治療費用
150 万円( 50 万円〜 300 万円)
無制限
2000 万円
損害賠償保険
3000 万円 ( 2000 万円〜 1 億円)
1 億円
1 億円
携行品損害
30 万円( 15 万円〜 50 万円)
30 万円
50 万円
救援者費用
100 万円( 100 万円〜 200 万円)
300 万円
300 万円
支払い費用
0 円
8990 円
2960 円

もし、海外旅行保険に入るのであれば、出発に前だって、インターネットで申し込むのが基本です。そのほうが空港で入るより安いし、自宅から空港までの事故にも保険が支払われます。証書も事前にもらえるし・・・。おおむね出発の 2 ヶ月前くらいから受け付けてもらえます。

なお、大手保険会社は、シカゴに現地事務所があり、日本語救急サービスなどが付帯しているので、値段だけで保険会社を決めるのは損だと思います。困った時に、日本語で対応してもらえるのは非常にありがたいです。

外国で車を運転するなど、簡単な観光旅行以上のことをするかたは、是非、追加保証をつけることをおすすめします。大学の先輩が、アメリカで交通事故(自損事故)を起こし、日本だったら、再起不能と思われるような重症を負いました。アメリカの医療は、高額な費用をいとわなければ、非常に高度です。患者一人に一人以上の理学療法士がつきっきりで、訓練してくれるのです。おかげで、再度、医師として働けるくらいまで回復しましたが、数千万円の請求書がきました。保険でも全額カバーできず、日本に帰ってから、払うのに大変だったそうです。

15) 本を買って持ち帰りましょう。
私は、RSNA の時には、たいてい医学書を数冊買って帰ります。なんといっても、中身が見られるのがいいです。普段は日本から、amazon を使って購入しているのですが、失敗があります。思いの他厚くてうれしいということもありますが、思いの他薄かった時はさびしいです。絵が美しくなく、がっかりすることがあります。画像診断と全然関係ない本を高価で買った時は情けなかったです。2005 年以前は、10 % の参加者割引があったのですが、2006 年はありませんでした。数冊まとめると、安いようでしたが、寂しくなりました。でも、中身を見てから買えるのでよしとしましょう。

2006 年の書籍売り場で気がついたのは、電子書籍がほとんど姿を消していたことです。読みにくいと判断されてしまったのでしょうか。確かに、読みにくいのですが、あのコンパクトさは捨てがたい。

買った本は、無料配達もしてくれるようですが、船便なので時間がかなりかかるみたいです。おおむね 6 週間ほど・・。なんとしても、カバンに入れて持ち帰りましょう。


アメリカという国

アメリカという国は、意外にわかりにくい国だと思います。国際社会を生きていくためには、アメリカ人のメンタリティ(考え方)を十分に理解する必要があります。日本はアメリカを皮相的に模倣してきたため、日本と似ている部分もありますが、メンタリティは、日本人とは、かなり異質です。

アメリカ(人)に対する好意的な評価: 世界の警察官、巨大な国、新しい国、移民の国、明るい性格、オープンな性格、楽観的な性格、上昇志向・・・。否定的な評価: 人種差別の国、帝国主義、軍国主義、秘密主義、陰謀の国、世界の田舎もの・・・。アメリカに対する評価はさまざまです。たぶん、どれもきっと正しいのでしょう。最近、”ガラス食器の店にはいってきた善意の象” という評価を聞きました。一般市民の意識としては、これが一番当たっているような気がしています。自分の巨大さが相手を傷つけていることに気がつかず、善意を振りまわす国、というわけです。自分で良いと思いこめば、相手にその良いものを押しつけようとします。また、アメリカ人は、理屈が好きで、理屈に現実を合わせていこうとするダイナミックさがあります。日本人や、ヨーロッパ人は、簡単にはまねができません。日本やヨーロッパは合理的な考えより、慣習に縛られることが多いからです。アメリカ人は、過去や慣習にしばられないため、過去にないものを生み出す強い推進力があります。おそらくは、これからも、アメリカは世界の牽引役であり続けていくのであろうと考えています。

アメリカでは、宗教が社会の基盤を形成しています。宗教をもたない人は 19 % ほどにすぎず、日本はもちろんのこと、ヨーロッパと比較しても、格段に宗教をもっている人が多い。単に信仰があるというだけでなく、きちんと教会に 1 週間に 1 度は通う人が多い。実態は無宗教社会といっていい日本とは、かなり違った世界です。アメリカでは、キリスト教プロテスタントの分派が勢力を持っています。メイフラワー号に乗った人々(移民した人々という意味)の中に、分離派(イギリス国教会プロテスタントの改革派:当時イギリス国教会から迫害されていた)の人達が多かったことの影響が大きいとされています。移民の意識は、ヨーロッパで受け入れられなかったというより、”神に選ばれし者”といったほうが正しく、アメリカ移民は、新たな宗教世界としての建国が目的であったことが知られています。

2003 年の統計で、宗教の構成は、プロテスタント 58 %、カソリック 21 % 、イスラム教 1.8 %, ユダヤ教 1.3 % とされています。簡単に言ってしまっていいことではないのですが、プロテスタントは実利を重んじます。カソリックは形式を重視します。プロテスタントが勢力を持っていることの意味は、アメリカにおいては小さくありません。また、同じプロテスタントといっても、ヨーロッパのプロテスタントとアメリカのプロテスタントはかなり違うのです。アメリカの荒野を開拓する人々をサポートする教会は、実用性を極限まで重視することになりました。精神的なサポートだけでなく、困窮した人々への食事の配給、その他、信者が困っていることのありとあらゆることに対応してきたのです。宣教師のすさまじいまでの奮闘ぶりが知られています。このため、アメリカでは、ヨーロッパでのキリスト教そのままではなく、様々なプロテスタントの分派・教派が発達しました。パブテスト派、メソジスト派、ペンテコスト派、カリスマ派、アドベンチスト派などなど。ヨーロッパのキリスト教がオーソドックスなのと比べて、極めて多彩です。もちろん、旧約聖書、新約聖書を信じているという意味では、それぞれの派の教義が違うことはないのですが・・・。重要なことは、プロテスタント、カソリック、ユダヤ、イスラムという共通の神の根源を持つ宗教(いずれも創世記は共通)が、統一的枠組みとして”市民宗教”(宗教社会学者 R.N.ベラーの言葉)を形成していることです。普段は、ばらばらでも、重要なことにあたっては団結するのです。

このような宗教とともに発達してきた社会では、教育は、実利的なことと、創世記に合致することを教えることとされ、公教育は住民が監視しています。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の根本原理である”創世記”に反することを教えるべきかどうか未だに議論が続いているのは、科学的に正しいことよりも、人間をどう考えるか、また実利を重んじるアメリカ人のメンタリティであることを認識する必要があります。日本人には、なかなか理解できないようです。私は、アメリカの創世記教育を笑ってしまうかどうかで、その人がアメリカを理解している、あるいは真剣に理解しようとしているかどうかを判断することにしています。日本にも創世記の神話がありますが、これを素直に信じる人も、わざわざ否定する人もいないと思っています。それと同値です。人間の祖先は、実は魚、あるいは単細胞のプランクトンみたいなものであった、そんな科学的事実は、実人生においては、遺伝の研究や系統動物学を研究している科学者以外にはなんの意味もないでしょう。

大学でスポーツや音楽が盛んなのは、実利を重んじるからです。極端に言えば、アメリカの公教育は職業訓練であると言い切ってしまって良いようです。大学でのスポーツも音楽も、職業訓練のためのものです。日本の大学がスポーツ選手を大事にするのは、広告塔の役目を期待しているからと思われ、原理的にはかなり違うことになります。宗教の教理に合致した上での "Making Money" こそが、アメリカ人の唯一の価値基準です。Making Money のために、様々な分野で職業訓練が行われます。アメリカン・ドリーム American dream という概念は、合法的に収入を増やして、階層を上っていくことです。そのために、ありとあらゆる努力、工夫を集中します。大学の目的も Making Money の方法を研究、教育することです。人生がうまくいっていないことは恥なので、他人に不調な面を見せることは滅多にありません。 借金をしてでも、他人に好調なところを見せることを生活原理としています。

アメリカには、民主社会という言葉が信じられないほどの特権階級が存在します。大部分は、アメリカ建国の時期に生まれました。メイフラワー号などでの移民に関与し、金融を扱ったり、資材の輸出入などを扱うことで、急速に裕福になりました。イギリスとの独立戦争、南北戦争なども、武器の調達などにからんで、極端に裕福な層を形成するのに影響しました。建国以来、外国との戦争に負けたことがなく (ベトナムを除く : ちなみに様々な意味で、ベトナム戦争はアメリカ人の心に傷を残しています。) 、特権階級の入れ替えは、多くはありませんでした。代表として、金融のモルガン、石油のロックフェラーなどがあげられます。これらの特権階級は、非常な金持ちで、現在は金融資産を運用するだけで、さらなる資産を蓄えています。税金があまり高くないという特権もあります。しかし、一般のアメリカ人は、こういった格差を当然のことと考えており、上の階層へ登ることを人生最大の目標としています。裕福な層は、自分の子供を公教育にまかせず(公教育では、上記したように、最低限の実利的なことしか教えないので)、私立の学校に通わせるか、もしくは裕福な人達が集まっていてレベルの高い公立の学校へ通わせます。アメリカの優秀な技術は、私立学校へ通った人々、もしくはレベルの高い公立学校へ通った人々の中から生まれており、アメリカンドリームといっても、教育程度の低い下層の人々が上に登るのは実際にはかなり難しいこととされています。だからこそ”ドリーム”なのかもしれません。

政治の動くメカニズム : 宗教上の理由も大事ですが、それ以外の因子として、選挙資金の額は、政治と企業を結びつける重要な事項です。2004 年の選挙資金統計では、マイクロソフトが 354 万ドル( 約 4 億円)、GE が 225 万ドル( 約 2.5 億円)、Blue Cross( 保険会社)が、177 万ドル( 約 2 億円)です。 当然ながら、政治家もそういった企業のほうへ顔を向けています。選挙資金を誰がどれくらい出したかを見ていれば、アメリカの進む方向がわかるという意見すらあります。アメリカの選挙に金がかかりすぎるという批判はあるようですが、改革(金がかからないようにする)の動きはほとんどありません。それを理解する必要があります。選挙にかかる費用を自分で工面できないような人に国をまかせることはできない、ということなのではないかと考えています。費用をかけずに選挙運動をした人もいますし、自分の選挙のやり方に必要な額は自分で工面しなければならないということです。

アメリカにとっての大きな懸念は、大国化しつつある中国、インドとの競争です。もうひとつは、ユーロが基軸通貨となることへの懸念です。もし、ユーロが基軸通貨になれば、ドルは大暴落し、おそらく 1929 年の不況など問題にならないくらいの大不況が発生する可能性があります。そんなことは実際にはありえないでしょうが・・・。

 参考文献

● 多民族の国アメリカ ナンシーグリーン 著 明石紀雄 訳 創元社 1997 年
● アイルランドからアメリカへ カービー・ミラー 著 茂木健 訳 東京創元社 1998 年
● 超・格差社会 アメリカの真実 小林由美 著 日経 BP 社 2006 年
● ルート 66 を行く 松尾理也 著 新潮新書 2006 年
● 分裂するアメリカ社会 堀内一史 著 麗澤大学出版会 2005 年
● ニッケル・アンド・ダイムド バーバラ・エーレンライク 著 曽田和子 訳 東洋経済新報社 2006 年
● ルポ 貧困大国アメリカ I, II 堤未果 岩波新書 2010 年

 


いずれも相当面白いです。是非、読書をおすすめします。今まで出版されたアメリカに関する本は、いかに皮相的なアメリカ論が多いことか・・・。

”多民族の国アメリカ”は、写真が非常に豊富で、実際に船に乗っている写真などもあり、わかりやすいです。文章は簡潔ですが、初期移民と後期移民との戦い、宗教論争など、意外に深いところまで書いてあって、アメリカの初期の状態を彷彿とさせます。本が薄く写真が多いので、1 日で読めます。基礎知識がないと、読めても理解は難しいかもしれません。

”アイルランドからアメリカへ”は、イギリスに蹂躙され続けてきたアイルランド人が、飢饉をきっかけに大量にアメリカに移民し、その後、アメリカで地歩を築いた経過を記載した本です。元々は、カービー・ミラーの Emigrants and exiles という大著を整理して、短くまとめた本とされています。アメリカへの移民は単一像ではありません。初期移民は、プロテスタントが主でしたが、後期移民の多くを占めたアイルランド移民の多くは、カトリックでした。すでに根をおろしていたプロテスタント系アメリカ人からの反感はかなり強く、また、手に職を持たなかったアイルランドからの移民は、過酷な運命をたどりました。アイルランドからの移民はかなり多く、合計で 4000 万人ほどに達しています。その後、アイルランド出身者はアメリカにとけ込むことに成功し、出身を問われることもなくなりました。近年になり、ルーツ探し運動の活発化により、アイルランド出身者の帰属探しが始まっていますが、祖国であるアイルランドの現状が決して良好でないことが、暗い影をなげかけています。移民に失敗し、帰国した人種はかなり多いのですが、アイルランドからの移民は、ほとんど帰国しなかったことが知られています。これも、出てきたアイルランドが国として良好な状況ではなかったことを表しているものと思われます。

" ルート 66 をいく " は、日本人にはあまりなじみのないアメリカの内陸中央の社会を扱った本で、非常に面白い。ルート 66 とはシカゴとロスアンジェルスを結ぶ、1926 年に作られた大陸横断国道です。この道路に沿った地域の社会状況について語った本です。旅行記ではありません。(タイトルが悪い)。日本でよく見聞きするのは、ニューヨーク、ボストンといった東海岸、サンフランシスコ、シアトルといった西海岸の情報が主ですが、内陸部は違った様相を示します。イギリスからの移民が多かった海岸地帯と違い、ドイツ、スエーデンからの移民が多く、社会の構造がかなり違っています。宗教をもっている人が多いことも特徴のひとつです。政治的には保守ですが、日本の”保守”とはかなり違っています。日本の保守主義は概念があいまいですが、アメリカの保守は主張が明確です。創世記教育、進化論の否定、ホモセクシャルを認めない、クローン技術を認めない、妊娠中絶反対、小さな政府、政府に依存するのではなくコミュニティ内での相互扶助、自己責任の徹底、等。

" 分裂するアメリカ社会 " は、宗教から見たアメリカ社会の分析です。力作かつ傑作だと思います。イラク戦争に関する分析も精密です。キリスト教は、”隣人愛”を説く宗教ですが、”悪とは戦わねばならない”と宣言する宗教でもあります。宗教界は、イラク戦争に賛成するグループと反対するグループにわかれています。戦争反対だけが正しい道ではない。かつて、ドイツナチスの台頭した時代に、アメリカがずっと参戦を拒否していたために、戦争被害者が増えてしまったという批判も未だにあるのです。ブッシュ大統領が、イラク開戦するにあたって、宗教的な説得をする必要があったことが知られています。もっとも、それはアメリカ一般大衆に対してであり、実際、どこ(誰)を見て、イラク開戦を決定したのかは難しいところです。アメリカの政策決定には、常に陰謀説がつきまといますが、一般人は全く関係ありません。選挙以外には、一般人が意見を言う機会はほとんどなく、その間に、大衆の意に沿わないことが行われてしまうという点において、日本の政治と同じ欠点があります。ネオコン(新保守主義)の影響は否定されています。アメリカの政治は、ポピュリズム(大衆迎合主義)という意見もありますが、全く的はずれだと思われます。今まで出版されたアメリカに関する本や日本のマスコミの論調が、うすっぺらな中身なのに愕然とします。

”ニッケル・アンド・ダイムド”のタイトルは、安い硬貨の意味です。ニッケルは 5 セント、ダイムは 10 セント硬貨です。これ以上安い硬貨は 1 セント(ペニー)があるのみです。50 才代の文筆業の女性が、大学中退という履歴書だけで、仕事を探し、アメリカの都市で生きているけどうかを自分で体験してみたという実話の記録です。この記録が貴重なのは、貧民であって、その生活を文章として表せる人はきわめてまれだからです。一種の潜入記になるのだろうと思います。著者は、普段は中の上くらいの生活をしています。著者は、ウエイトレス、ハウスクリーナー、スーパーの店員などに応募して働き、トレーラーハウス、モーテルなどの劣悪な環境で暮らします。贅沢は一切していないのに収支を合わせることの難しさを実感しています。日本で標準的アメリカ人の生活と考えるのとは全く違ったホームレス寸前の極貧の世界です。こういった人たちは、アメリカ国籍の市民であっても、自動車はない、アパートは一人では借りられないのでルームメートと同居、あるいは家族数人以上で一部屋で暮らしているのです。ひとつの職場だけでは赤字で、2 つの職場をかけもちしなければならない。それでも、生活保護にはならないよう努力している。日本のワーキングプアの像と似ています。詳細な比較をしたわけではありませんが、絶対数からいえば、アメリカでのワーキングプアー層の人数は、日本よりもはるかに多い印象です。アメリカのレストラン事情も知ることができます。もちろん、安いレストランやファストフード店ですが・・・。日本に比べればましと言われている住宅事情が、アメリカにおいても貧困の最大の要素であることがわかります。ちなみに、日本の一世帯あたりの住居面積は、世界レベルでは、むしろ広いとされており、" ウサギ小屋 " という評価は、誤訳であったことが判明しています。アメリカのワーキングプアー層の食事は、職場で用意されるファーストフードだけだったりして、むしろ日本より貧弱です。アメリカの一断面を知る資料として貴重です。